住宅企業が開催した女性管理職&候補者向けのフォーラム
「ウーマノミクス」と「100年住宅」、一見関連性がないようにみえる両者に流れる共通項について、「働く女性」と「住む女性」の2つの視点にフォーカスしてガイドの私見を書こうと思います。
住宅業界で「働く女性」の動き
安倍政権とセットで語られがちなウーマノミクスですが、始まりは1999年にさかのぼります。語源は、「ウーマン」(女性)+「エコノミクス」(経済)を組み合わせた造語。ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジストであるキャシー・松井氏が1999年から提唱している概念で、女性の活躍による経済の活性化、働き手としても消費者としても女性のパワーがけん引する経済のあり方を意味します。安倍政権が成長戦略の一環として女性活躍を推進する方針を打ち出したことから、あらためて注目を集めています。その背景にあるのが、急速に進む少子高齢化。日本の総人口は2055年までに30%減、出生率は2005年水準の40%に低下し、生産年齢人口は半減する見通し。この労働力急減を補うために「女性の社会進出」を促進しようというもので、人口減少とくに住宅取得年代である生産年齢人口の減少は住宅業界にも甚大な影響を与えることになります。
特に住宅業界はかつて大工や現場中心の世界であったため、他の産業に比べても長らく男性中心主義が続いてきました。ガイドが住宅業界を取材し始めた1990年代初めは、女性は結婚もしくは出産したら退職するのが普通で、女性が住宅企業の組織で長く働き続けるにはワークライフバランスをあきらめなければならないケースも多々ありました。
特に住宅業界は待ったなし
しかし、そうも言ってられない2つの現実が住宅業界に押し寄せつつあります。1つは上記にも述べた、少子高齢化の進行と空家の増加、若者の持家に執着しない志向。2050年に生産年齢人口が半減するということは持家新築市場は単純に半分に縮小するということになります。すでに消費税反動減に苦しんでいる住宅企業も少なくなく、限られた持家潜在層に多くの住宅企業が集中競争すれば、当然、営業力や提案力がカギを握ります。この営業力や提案力に女性活用を期待しているのが、住宅業界におけるもう一つの女性活用の流れです。次ページでは、ある住宅企業の女性活用事例を紹介します。