木造住宅の未来を語る
目黒雅叙園で行われた住宅FC全国大会
シンポジウムのテーマは「木造住宅の未来~つくり手の挑戦×住まい手の変革」。そこからは木造住宅、もっと言えば住宅に限らないテーマを含んでいたように思ったので、簡単にリポートしてみたい。
高田光雄・京都大学大学院工学研究科建築学専攻教授、松村秀一・東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授、そして当AllAboutガイドでもある大久保恭子さんが登壇。先だって行われた基調講演「箱の産業から場の産業への大転換」「住みこなすことを楽しむ文化」では両教授とも「良質なストックを育てていくことが大切」と強調。これまで「良質なストックをつくって残す」と言われ続けてきたが、「良質なストックの良いところを育てていく」という話は新鮮だった。
街や団地再生に集まる若者たち
若者が関わった京都の団地再生の事例も紹介
大久保氏が「お二人の高尚な理論は面白いのですが、現実をみると今の若い30-40代は生まれた時から集合住宅住まいも多く『庭はいらない』という発想であったり、共働きも多くて地域の付き合いも希薄化している。このギャップを埋めていくにはどういう考え方をしたらいいか」と質問を投げかけると、
「京都で団地を再生したときに『面白そう!』と集まってきたのは、団塊ジュニア世代の若者たちだった。居住文化を残すことを第一に、部分的に断熱改修したのだが、工事を手がけたのは団塊ジュニア世代だった。環境問題や倫理観から『古いものを残すべき』を振りかざしてもダメ。彼らの純粋に『面白そう』という好奇心を引き出していくような形で、ストックリノベーションは実現できるのではないか」(高田教授)