激戦区・上海で生まれたクラフトビールの新星!
上海に来たら一度は試したい地元産の生ビール。この泡を見たら……もう昼から飲むしかない!(写真提供/Shanghai Reberg Brewery)
13億人を超える人口を抱える中国は、世界最大のビール消費国。生産量もこの10年で飛躍的に増え、年間4400万キロリットルを超える世界一の生産大国です。
中国のビールといえば有名なのは「青島ビール」ですが、最もよく飲まれているのは「雪花ビール」。アルコール度は4%未満のものが主流です。
上海でももちろんこれらのビールがよく飲まれていますが、昔から外国人が多く住む街だけに、他の中国の都市とは少し事情が異なります。中国の青島ビールやハルビンビール、地元ブランドの「力波」も根強いですし、海外ものではサントリーやバドワイザー、ハイネケンもポピュラー。
市内にはドイツビールやベルギービールなど専門のビールバーが数多くあり、ブリュワリーも点在。全国と各国の料理店も揃うので、実に様々なビールを飲むことができます。あっさりキレのあるビールは四川料理をはじめ中国料理全般にあいますし、穏やかでコクのあるタイプは上海料理にもマッチ。キリンやアサヒは日本料理店だけでなく、コンビニエンスストアでも手に入るようになりました。上海はつまりビールの激戦区であり、常に新しい動きが起きているのです。
Rebergビールは3種類。ボトルの底にはビール酵母が溜まっており、ゆっくり発酵が進んでいます。(写真提供/Shanghai Reberg Brewery)
一握りの富裕層向けのように見えますが、高島屋や久光、City’ SuperやOle’など、既に市内300店舗ほどの百貨店や高級スーパーで販売されています。ウェブサイトからの購入も可能。上海を中心に中国は今、中産階級が勢いを増しています。14年からは地方都市での販売も開始したそうです。
ボトルデザインとスローな味わいが今っぽい
限定版として発売された2014年のワールドカップシリーズ。スペースの関係ですべては紹介できませんが、全出場国が揃っています。(写真提供/Shanghai Reberg Brewery)
Rebergがつくっているのは白ビール(小麦ビール)、黄ビール(ピルスナー)、黒ビールの3種類。特徴は加熱処理やろ過をせず、酵母を生かしたままの生ビールであること。ドイツで伝統的な製法を学んだ技術者が工場長を務め、上海で醸造しています。原材料はオーストラリアの麦芽とチェコのホップ、アメリカの酵母。添加物は加えていません。生産日からなるべく一週間以内に飲むことをすすめており、賞味期限は冷蔵保存で30日間です。
口当たりはいたってまろやか。泡も細かくソフトで、なめらかなのどごしです。アルコール度は3.7パーセント前後と低め。じっくり味わうタイプのスローなクラフトビールです。ビタミンやアミノ酸が豊富だそうで、言われてみればなんだか体にいいような……。黒ビールは地元の人の好みにあわせ、苦味をおさえてあります。
限定版ワールドカップシリーズより、日本デザインボトル。(写真提供/Shanghai Reberg Brewery)
Rebergをつくっている会社自体は2008年に設立。11年から始動しはじめ、13年からチームを整えて本格的に動き出しています。代表とプランニングディレクターを務める曽瑞露さんはデザインのプロフェッショナル。日本留学の経験もあり、日本語も堪能です。
スーパーで手に入るほか、上海市内ではデリバリーサービスも行っています(6本~)。
上海産ビールの新しい顔として定着しはじめているReberg。上海を訪れた際には少し奮発して、今一番この街らしい旬のビールで乾杯!