心に響く「地獄極楽めぐり」
さて「あの世」へと一歩足を踏み入れれば、先程までの和やかな現世とは打って変わった冥界の住人たちが彷徨う別世界。この世とあの世を隔てる「三途(さんず)の川」、亡者から衣服をはぎ取る「奪衣婆(だつえば)」、亡者の悪行を裁く「閻魔大王」、そして亡者たちの阿鼻叫喚の声が響き渡る「地獄界」と、大人でも思わずゾクッとする恐ろしい場面が次々と展開し、ちびっ子はもう本気で泣き叫ぶほどの迫力。怖い、怖すぎる!
欲張りで自己中心的な者が落ちる餓鬼(がき)界。飢えや渇きに苦しんでも誰も助けてはくれません
このように地獄極楽の教えは私たちの日頃の行いを戒め、「人として正しく生きる道」を説いているのです。
殺生や盗みなどを犯した重罪人はもちろん地獄行き。身の毛もよだつ恐ろしい責め苦が続けられます
「伊豆極楽苑を入口として、何か一つでも感じてもらえたら嬉しく思います」と、華扇さん。華扇さんのアイデアによる閻魔様の前に置かれた懺悔帳には「もういじめはしません」、「もうウソはつきません」など、子供たちによる真摯な書き込みがびっしり。現代の子供たちにも地獄極楽の教えは、しっかりと心に響いているようです。
生前に善い行いを尽くした者だけが行くことができるという極楽浄土。いつかは行ってみたい夢の世界
とっても怖い閻魔様、その正体は……
「こんなに恐ろしい地獄なのに、全国各地からたくさんの方たちが訪れてくださるんですよ。不思議ですよね」と館長の青鬼丸さん。中には親子四代にわたる常連さんまでいらっしゃるとのこと。伊豆極楽苑の300体以上の人形は全てご家族による手作りで、毎日閉館後に一体ずつ見回っているという人形たちは、一体たりとも壊れていたり、倒れていたりすることはありません。「閻魔さんも、鬼さんも、亡者さんも、昼間は一生懸命それぞれの役を務めているけれど、夜はみんなで楽しく宴を開いているんですよ」。そんな館長ご一家の人柄が伝わるからこそ、訪れる人々の心を打つのかもしれません。
実は怖い表情で私たちを叱る閻魔様の正体は、心優しいお地蔵様だといわれています。厳しく「叱る」のは、愛があればこそ。私自身もこれまでに何度も伊豆極楽苑を訪ねていますが、閻魔様は時には叱ってくれたり、そして時には笑ってくれたり、様々な表情で出迎えてくださいます。
とっても怖いのに、何だかとっても温かい「地獄極楽めぐり」。人生に役立つヒントがきっと見つかるはずです。
生前の行いを全てお見通しの閻魔様。来世の行き先はこれからのあなた次第です!
■伊豆極楽苑
静岡県伊豆市下船原370-1
0558-87-0253
木曜定休
ホームページ:http://izu-gokurakuen.com/
地図:Yahoo!地図情報
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【編集部よりお詫び】
本記事初出時の2014年8月8日から8月11日にかけて、編集部の追記により要約文中に不適切な表現がございました。当該表現は現在、削除されておりますが、執筆者である坂原弘康氏、取材先の伊豆極楽苑、および多くのユーザーの皆様に不快な思いや誤解を招いてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。