名付けで漢字の始めの音だけを使うのはOK?使いやすさとは別
漢字の一部の音だけを使う名前も増えている
A 南は「みな」「な」「なみ」の読み方があり、海は「み」と読む字ですので、南海(みなみ)は正しい読み方です。舞を「ま」と送り仮名を除くのも間違いとは言えません。優は確かに厳密には「ゆう」と読む字ですが、縮めて「ゆ」と読ませる名が流行していて、誰にでもわかります。大切なことは常識で読めるかどうかです。
訓読みの場合は間違いとは言えない
たとえば来飛と書いて「こと」と読ませる名前については、来は「こ」の読み方はあり、飛も訓読むで「とぶ」と読みますから「と」と読んでも間違いではありません。同様に純は「すむ」という訓読みがありますから、亜莉純という名前を「ありす」と読ませても間違いではありません。ただ他人に読めるかどうか、社会で名前として機能するかどうかは別の話になります。例えば、達(タツ)の字を「タ」と読ませたり、克(コク)の字を「コ」とするのは、明らかに間違った読み方です。他人に読めない、あるいは正しい方で読まれてしまい兼ねません。親や本人は一切文句が言えません。
こういう名づけが増える原因の一つとして、名前に使える漢字のリストというものも考えられます。たとえば「ア」の欄に「亜、阿、愛、哀、娃、……」と並べて書いてあったりします。それはもちろん「アのつく字」という意味なのですが、「全部アと読む字」だと思われてしまうこともあるのです。
また心を「ココ」と読ませるような、漢字の一部の音だけを使って名づけをするのも一つの方法と思っている方もいらっしゃいますが、それは専門家から見ますと乱暴な名づけには見えます。
伸ばす音を縮めるのはグレーゾーン
漢字の「ユウ」と「ユ」の読み方の区別はあまり意識されずに使われています。厳密に区別をするなら、「有」「友」「由」「結」「夕」などの字はユウ、ユの両方の読み方があり、「祐」「悠」「裕」「優」「侑」の字はユウとは読みますがユとは読みません。しかし実際にはユウとしか読まない字をユと読ませる名前はかなりつけられてはいます。- ゆみ=優美、悠美、悠実、侑美、裕美
- ゆな=悠那、優菜、悠菜、悠奈、優奈、優那
- ゆか=優花、優香、優果、
- 優華、優夏、悠香、悠花、悠華、悠果、悠夏、侑香、祐華
- ゆり=悠理、悠里、悠梨、悠莉、優里、優理、優梨、優莉、祐莉
また「レイ」と「レ」についてもそうです。最近はレの音の入る名も多くつけられていますが、レと読む漢字はありませんので、次のようにレイの字を使うしか方法が無いのです。
- れな=怜奈、怜菜、礼菜、礼那、玲奈、玲菜、伶奈、伶菜、伶那
- えれな=恵伶那、絵礼奈
- えれさ=絵玲沙、恵礼紗
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