誤解2 読解力に関係ない漢字練習は、本人が嫌がるので後回しにしても構わない
漢字練習。確かに面白くないし面倒くさいですよね。やりたくない気持ちはよくわかります。私自身、漢字練習は本当に嫌いでした。
ところで、以下の文章を読んでみてください。
- 私は医師から、妻のVDT症候群についての説明を受けた
いかがですか?この文章だけでは、状況が深刻で切迫したものなのか、それほど心配する必要のないことなのか、よくわかりませんね。文章自体はまったく難しくはないのに、単語の意味がたったひとつわからないだけで、文章全体がこんなにもぼやけてしまうということを、ご理解いただけたかと思います。
実は多くの小学生にとって、国語の文章には、知らないことばや意味のあやふやな熟語がたくさん出てきます。つまり、上の例で皆さんが体験したような状態で、文章を読んでいることが非常に多いのです。このような状態では、文章を正確に読み取ることはできません。それゆえ国語の成績がなかなか上がっていかないのです。
語彙力は、国語力を支える基礎工事です。これをおろそかにしては、その上に国語の力は絶対に積み上がりません。逆に、しっかりと漢字練習をしていれば、たとえ知らない熟語が出てきても、漢字から意味を類推することも可能です。
では、漢字練習はどのようにするのが効果的なのでしょう。まず、漢字がとても苦手な生徒には、小学校一年生からの漢字を、もう一度おさらいしていくのが良いと思います。たとえば市販の漢字ドリルなどを使って、本当にごくごく簡単な漢字から練習させるのです。
漢字というものは、その多くが簡単な漢字の組み合わせによってできています。高学年の複雑な漢字でも、分解してやることで、より簡単に覚えることができます。たとえば「問題を解く」の「解」という字は、「牛から角を刀で切り離す」というように、分解した漢字を使って意味を作りながら覚えると簡単に暗記できますよね。低学年で習った漢字をおさらいすることは、一見無駄が多いように思うかもしれませんが、「急がば回れ」ということわざもあるくらいです。せっかく時間のある夏休みですから、じっくりと漢字に向き合ってみてくださいね。