都(みやこ)の風水「四神相応」

「虎ノ門」は、現在の文化庁(右)の前方辺りに設けられた

「虎ノ門」は、現在の文化庁(右)の前方辺りに設けられた

「四神相応(しじんそうおう)」は、古来東アジアに伝わる地相のひとつである。都となる場所を選ぶ際、それぞれの方角に適した「地勢」(地形を俯瞰した言い方)があるというもので、日本における代表的な導入例に「平安京」が挙げられる。

望ましい姿として、前方すなわち南に「海(池)」、背後は北になり「台地(山)」、左は東で「川」、右は西で「大道」となる。四神に置き換えると。南に「朱雀(すざく)」、北に「玄武(げんぶ)」、東に「青龍(せいりゅう)」、西に「白虎(びゃっこ)」である。

さきの平安京であてはめると、朱雀に相当するのが「巨椋池」、玄武が「船岡山」、青龍は「鴨川」、白虎が「山陰道」となるようだ。鎌倉なども同様との説がある。確かに南が海で、背後は山だ。

さて、江戸東京がこれに該当するのかどうかは色々と説があるらしい。とはいうものの、江戸城の前方には東京湾が大きく広がり、東は隅田川が流れ、西方には甲州街道が伸び、背後は武蔵野台地が守りを固めている。偶然と片づけるほうが逆に無理があるようで、歴史のなかでは風水として「四神相応」が用いられた前提で物事が認識されているケースが少なくない。そのひとつが虎ノ門である。

なぜ、「トラのもん」は白いのか?

「虎ノ門ヒルズ」ロビーに掲げられた「トラのもん」の巨大フラッグ

「虎ノ門ヒルズ」ロビーに掲げられた「トラのもん」の巨大フラッグ

「虎ノ門」名称の由来は、江戸城を取り巻く御門のひとつが(現在の「虎ノ門」交差点付近に)あったところからきている。内掘りの「桜田門」から続く外堀にかかる門である。ではなぜ江戸時代「虎ノ門」と名付けられたのかといえば、ここが東海道の出発地点、すなわち「大道<白虎>」の起点であったからだとされている。他にも諸説あるようだが、現存する城壁の解説文(地下鉄「虎ノ門」駅構内の展示パネル)にも、確かにそう記述されている。

先月11日、「虎ノ門ヒルズ」(森ビル)が開業。地上52階建ての複合タワーは、地上247メートル。都心では2番目の高さで、名実ともに東京の新たなランドマークとなる。「虎ノ門ヒルズ」では、開業に合わせ新たなイメージキャラクターが誕生。人気アニメ「ドラえもん」をモチーフにした「トラのもん」である。真っ白ないでたちをご覧になった方も多いのではないか思う。

白色を採用した理由は、他でもない四神相応の「白虎」。数百年の年月をかけて、現代版の白虎が誕生したという設定なのか。「虎ノ門ヒルズ」は、環状2号線を地下で通す立体道路制度を用いたことでも知られている。同線は羽田まで20分でつなぐ幹線道路になる予定だ。21世紀の大道は、その向かう先が国外という見方もできよう。

虎ノ門ヒルズ(画像提供:森ビル)

虎ノ門ヒルズ(画像提供:森ビル)


意思を実現する体系

「工部大学校」門柱

「工部大学校」門柱

さて「虎ノ門」交差点近く、「霞が関コモンゲート」外堀通り沿いに「工部大学校」と書かれたレンガ造りの門柱が残されている。隣りに掲示された<工部大学校阯碑>にはこのように書かれてある。「1873年、工業分野における日本人の人材育成を目的に工学校がこの地に開校。(中略)土木、機械、造家など外国人教師によって教授された」。現在の東京大学工学部の前身である。

同学部のウェブサイトには以前こんなキャッチコピーが掲載されていた。『“工学”それは意思を実現する体系』。「虎ノ門ヒルズ」事業化の根底には「日本をアジアのヘッドクオーターに」(森ビル辻慎吾社長)との思いがある。現代版「白虎」は、世界有数の都市づくりを目指すデベの意思を実現させることができるだろうか。

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