胃のもたれ、機能性ディスペプシアとは?
胃もたれの原因とは?
胃もたれの症状に悩む方が上部消化管内視鏡検査などを行っても内蔵自体の異常が発見されないことが多々あります。こうした場合、近年では機能性ディスペプシアという診断をされることが多くなっています。
以前であれば神経性胃炎や慢性胃炎という診断名が付けられることが多かったのですが、胃炎があっても症状がないことや、逆に症状があるのに胃炎がないことなどが頻繁に見られるなど、胃のもたれに対し統一した見解を得られていませんでした。こうした問題を解決するために、症状があってもそれを説明できる異常が様々な検査において認められない場合、胃の炎症の有無に関わらず機能性ディスペプシアと診断するようになったのです。
胃のもたれの原因は?
この機能性ディスペプシアですが、心窩部痛・心窩部灼熱感・もたれ感・早期飽満感の4つの症状のうち1つ以上を慢性的に感じながら、消化器自体に異常が認められないものとされています。ではこれらの主な原因はなんなのでしょうか?まず消化管の運動機能が低下が考えられ、こうなると胃に入ってきたものが腸に送り込まれるまで時間がかかるようになり胃のもたれや膨満感を強く感じるようになります。さらには食物を受け入れる時に胃が拡張する機能が働かなくなり、胃の内圧が高くなりやすい状態になるため食べてすぐに胃が張ってしまい上腹部痛や胃の不快感などの原因にもなります。
さらに胃の内圧が上昇することで胃壁は引き伸ばされますが、こうした刺激が繰り返されることで機能性ディスペプシアを有する方は胃の痛みに対する知覚の閾値が低下する傾向があることが分かっています。
さらに忘れてはいけない因子がストレスです。近年ではあらゆる身体の異常をストレスの一言で説明しようとする傾向があり、さらにそうした傾向に対し批判的な方も多いように感じますが、ストレスと内蔵の関わりは生理学的にきちんと説明できるものです。
機能性ディスペプシア患者では、パニック症候群と同程度の社会的ストレスを受けていたこと、そして心理的状態としてはうつ的要素あるいは不安的要素が強いことが報告されています。
こうした心と身体の関わりはストレスホルモン(副腎皮質刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモン放出因子)によって引き起こされていることが分かっています。この二つのホルモンは、なんらかのストレスを心と身体が受けると放出され、胃の働きを抑制し大腸の働きを活性化させます。また、ストレスにさらされた時には副腎髄質からアドレナリンが放出されますが、この時には内蔵への血流が低下するため消化機能は抑制されます。
こうしたことから考えると、胃のもたれの背景にはなんらかのストレスが潜んでいると考えられそうです。仕事のプレッシャーなどによる精神的な負担ももちろんですが、食べ過ぎや偏食などによって起こる身体への負担、運動不足や寝不足など生活リズムの不全から発生するものなど、様々な原因がストレスとして考えられます。今一度ご自身の生活を振り返ってみることが大切だと言えるでしょう。
では、これらを踏まえ症状の改善に効果的なツボについて考えていきましょう。