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先進国で最下位…日本のワーキングマザーの睡眠実態

育児と仕事、家事をこなしているワーキングマザーの睡眠実態が、明らかになりました。味の素が行った調査によると、出産を境に睡眠に対する不満が急増し、睡眠を改善する工夫が必要なことがわかりました。パートナーの育児・家事への協力も、期待されています。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

出産前後で睡眠の不満が3倍以上に

赤ちゃんと母親

子どもと一緒に眠るのは、幸せな時間です

睡眠の質を高める働きがあるアミノ酸「グリナ」を販売している味の素が、ワーキングマザーの睡眠とストレスに関する実態調査を行いました。対象は、小学3年生(9歳)以下の子どもを持つ全国のワーキングマザー(402名)です。

2006年に行われた総務省の調査によると、日本のワーキングマザーの平均睡眠時間は7.5時間で、先進国の中で最下位でしたが、今回の味の素の調査ではもっと短く、平均睡眠時間は6時間44分でした。 

子どもが生まれる前後で睡眠の質に変化があるのかどうかについては、子どもが生まれる前に睡眠の質に不満があったと答えた人は16%でしたが、子どもが生まれた後(現在)に不満がある人は52%となりました。何と、出産後で3.3倍に跳ね上がっています。ワーキングマザーは育児に追われて、睡眠の質が悪くなりやすいことが明らかになりました。

子どもが生まれた後に睡眠に不満があると答えた方のうち、70%の第1子が未就学児でした。つまり、幼い子どもを持つ親ほど、睡眠の悩みが深いということのようです。

睡眠の不満の原因は、多いものから次の通りです。
1位.仕事・育児・家事が忙しすぎて、睡眠時間が確保できない 51%
2位.子どもの夜泣きやぐずりなどで、夜中に起こされる 45%
3位.つい夜更かししてしまう(テレビ・携帯電話・パソコンなど) 30%
4位.心配事が思い浮かんで、ゆっくり熟睡できない 20%
5位.パートナー(配偶者)の家事・育児への参加が足りない 18%

この結果を見ると、テレビや携帯電話、パソコンなどの気晴らしの時間を、夜ではなく日中に持っていったり、パートナーがもっと積極的に家事や育児に参加したりすると、ワーキングマザーの睡眠不足が少しは解消されそうです。

睡眠が細切れになり、質が悪くなる

あくび

睡眠不足だと、日中のパフォーマンスが低下します

睡眠のスタイルについての質問では、「子どもを寝かしつけながら自分も寝る」という「添い寝タイプ」の方が、83%を占めました。このうち、「夜中に起きて家事や仕事をする」という「分断睡眠タイプ」の人は、34%でした。残念なことに、「朝までゆっくり眠れる」と答えた方は、わずか7%しかいませんでした。

睡眠不足によって起こる生活の悩みは、次の通りでした。
1位.昼間に眠くなる 54%
2位.前日の疲れが残る 47%
3位.朝すっきり起きられない 47%
4位.熟睡感がない 47%
5位.途中で目覚めてしまう 42%

睡眠についての悩みが多く挙げられましたが、グッスリ眠れないために前日の疲れを翌日まで持ち越している人も半数近くいました。このことは、睡眠不足を少しでも解消して、睡眠の質も改善できれば、ワーキングマザーの生活がかなり改善することを示していると思われます。

ストレス解消には睡眠が効果的

スイーツ

甘いものを食べても、ストレス解消には役立ちません

ワーキングマザーがストレスを感じているのは、仕事についてが66%、家事が59%、育児では53%でした。ストレス対策として最も多かったのが、「甘いもの・デザートを食べる」の65%で、次いで「買い物をする」の54%、「十分な睡眠をとる」の43%でした。

現在行っているストレス対策のうち、効果が高いと実感しているものは、次の通りでした。
1位.旅行 47%
2位.十分な睡眠をとる 40%
3位.楽しい食事 35%

一方、「甘いもの・デザートを食べる」は26%、「買い物をする」は23%の人しか、効果を実感していませんでした。これまでもぐっすり眠るとストレスの解消になるといわれてきましたが、ワーキングマザーにおいても、十分な睡眠をとることがストレス解消につながりやすい、ということがわかりました。

「良い睡眠をとるために何をしていますか」という質問への回答は、次の通りです。
1位.何もしていない 50%
2位.就寝時間、起床時間を規則正しくする 24%
3位.寝る直前に食事をしない 14%
4位.朝日を浴びる 13%
5位.枕・ベッド・照明など寝具を工夫する 10%

残念ながら、睡眠の重要性を自覚していても、良い睡眠をとるための行動を起こしていない人が半分もいます。逆にいうと、半分の人は何らかの工夫をしているわけですから、今なにもやっていない人は、それを見習ってみませんか?

子どもが眠ってくれるときは自分の就床時刻や起床時刻を一定にする、眠る前に食事をしない、朝起きたらカーテンをあけて朝日をしっかり浴びる、寝具を工夫したり寝室の環境を整えたりするなど、すぐにでも実行しやすいものから取りかかってみると、きっと親子ともに良い睡眠を得られると思います。

パートナーのサポートも重要

赤ちゃんと父親

お父さんも育児を楽しみましょう

今回の調査では、夫がどのくらい育児をサポートしてくれるかによって、ワーキングマザーの睡眠時間に差が生じることもわかりました。育児をよくサポートしてくれる夫を持つワーキングマザーの方が、サポートをあまり受けていないワーキングマザーより、26分も長く眠っていました。ワーキングマザーの睡眠時間は、夫の育児サポートの程度によって、大きく左右されるようです。

「生活の質を高めるために、どのようなことが必要だと思いますか?」という質問には、ワーキングマザーの52%が「パートナーの家事への協力」を、45%が「パートナーの育児への協力」をあげています。育児と家事、仕事に頑張っているワーキングマザーを手助けするために、パートナーにも育児や家事の協力をお願いします。

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