投資信託/要注意!投資信託のリスクと落とし穴

解約ができない?投資信託の流動性リスクに着目

追加型の投資信託は原則として、いつでも購入や解約ができます。しかし、投資先の相場環境や組み入れ資産の状況によっては基準価額が算出されず、解約が凍結されることもあります。今回は、投資信託の流動性リスクについて見ていきます。

篠田 尚子

執筆者:篠田 尚子

投資信託ガイド

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半年に渡り資金が「凍結」

今年1月28日、キャピタルアセットマネジメントは、同社が運用する「ヒューミント・エジプト株式オープン」の新規買付および解約の申込受付を一時的に停止する旨を発表しました。エジプト現地の保管銀行において解約代金の送金が滞り、ファンド保有者の解約請求に対応できなくなる可能性を懸念した上での措置でした。以後、約半年が経過しましたが、7月17日現在で買付・解約の申込は再開されていません。

ファンド固有の問題を抱えるものも

需給に関係なく、基準価額にて購入や解約ができるというのは投資信託の魅力の1つです。しかし、「やむを得ない事情」があると運用会社が判断した場合、ファンドの追加購入や解約の受付が急に中止されることがあります。具体的には、投資対象地域における非常事態(自然災害、金融危機、クーデターをはじめとした政治体制の変更等)の発生とそれに伴う市場の閉鎖、さらには、市場流動性の極端な減少などが挙げられます。

他方、金融危機やクーデターのような外的要因ではなく、ファンド固有の問題で基準価額の算出が停止されたり、解約が制限されたりするケースもあります。ファンド・オブ・ファンズ形式で間接的にJリートに投資を行う「ベストプロパティー・インカム (毎月分配型)」は、投資先の外国籍投資信託2本の換金ができなくなったことを理由に、2008年12月から2009年3月の約3カ月に渡って基準価額が公表されませんでした。先述の「ヒューミント・エジプト株式オープン」も、エジプトの金融市場における混乱と、ファンド固有の問題によって適正な運用が行われなくなりました。

目新しいファンドには飛びつかない

投資信託の解約が制限されるということはつまり、投じた資金が凍結されることと事実上同じです。特に近年は、実際の運用を外部の会社にそっくりそのまま委託するケースが増加したため、残念ながら保有者に対する十分なフォローがなされていないファンドも散見されます。珍しい地域に投資しているから、一風変わった運用手法を取っているからなどと言ってすぐに飛びつかず、購入前にはファンドの投資方針や運用会社のフォロー体制を確認するようにしましょう。


買付・解約の申込みが一時的に停止された投資信託の例

買付・解約の申込みが一時的に停止された投資信託の例


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