蚊に刺されやすい人、蚊に刺されにくい人に違いはあるのか
蚊に好かれる体質のウソ・ホント
不思議なことに、同じ場所にいても蚊に刺されやすい人と刺されない人がいます。「O型は蚊に刺されやすい」、「ストレスと関係がある」など、その要因が都市伝説化しているものもあります。今回は「蚊に刺されやすい ウソ・ホント」を医学的観点から考えてみました。
<目次>
- 蚊に刺されやすい血液型、「O型は蚊に刺されやすい」は本当か
- 「太っていると蚊に刺されやすい」は本当か
- 「妊婦は蚊に刺されやすい」は本当か
- 「ストレスのない人は刺されやすい」は本当か
- 「子どもは刺されやすい」は本当か
- 「アルコールを飲むと刺されやすい」は本当か
- 「黒い服を着ていると刺されやすい」は本当か
- 「日焼けしている人は刺されやすい」は本当か
- 「運動している人は刺されやすい」は本当か
- 蚊対策で効果的な方法は? まずは正しく知るべき蚊の特性・習性
- 身の周りの蚊を減らすことも大切
- 蚊に刺されにくくなるための汗対策・体温対策
- 蚊に刺されにくくなるための体表面積対策
- 蚊に刺されにくくなるために黒い服を避ける、肌の露出を減らす
蚊に刺されやすい血液型、「O型は蚊に刺されやすい」は本当か
答えは、「本当ですが理由は不明」です。害虫防除技術研究所の白井良和先生は、2004年のJournal of Medical Entomologyで蚊はO型の血液型を好むと報告しています。蚊に刺される頻度がO型で83.3%、A型で46.5%と、O型の血液型の人が刺されやすいことが判りました。蚊の腸内にある、吸った血液型を調べるとO型、B型、AB型、A型の順に多かったとの報告もあります。残念ながら、理由については不明です。O型の人の体温や二酸化炭素、汗などが、他の血液型と若干異なる可能性があるのかもしれません。とはいえ、A型の人が蚊に刺されないわけではありません。「太っていると蚊に刺されやすい」は本当か
肥満は蚊に刺されやすい?
答えは、「本当」です。理由は、肥満の方は体表面積が広く、その分蚊に刺される範囲も広いということなので、確率的に刺されやすいということです。また、肥満の人は汗をかきやすいので、蚊が対象を発見しやすいということもあるでしょう。
「妊婦は蚊に刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。理由は肥満の方と同じく、妊婦も体表面積が広くなるためです。それに加えて、妊娠後期では肺がお腹で圧迫され、呼吸数が多くなり、その分二酸化炭素を発しやすくなることも挙げられます。また、体温も高めであり、そのことでも蚊を引きつけてしまいます。「ストレスのない人は刺されやすい」は本当か
答えは、「ウソ」です。ストレスがあるかないかは関係ありません。しかし、ストレスによって汗をかいている場合は、蚊を引きつける可能性があります。「子どもは刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。子どもは体温が高く、代謝がさかんであること、そして汗をかきやすいことから、蚊を引きつけてしまいます。「アルコールを飲むと刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。飲酒することで、皮膚の血管が拡張します。すると、体温が上昇しますので、蚊を引きつけてしまいます。またここでも、汗をかくことでさらに引きつけてしまいます。「黒い服を着ていると刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。イエ蚊は、夜行性のため、暗い色を好むといわれています。そのため、黒い服は蚊を引きつけてしまう可能性があります。「日焼けしている人は刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。蚊は、白と黒の色を感知し、黒色を好むといわれています。そのため、日焼けしている人は蚊を引きつけてしまう可能性があります。「運動している人は刺されやすい」は本当か
答えは、「本当」です。運動していると、汗をかきます。汗が蚊を引き寄せますし、運動によって、二酸化炭素の排出も増えますので、より蚊を引き寄せることになります。上記で挙げたいくつかの内容から考えて、蚊に刺されやすくなる主な要素は、汗・体温が高い・体表面積が広い・黒色の4点にまとめられます。つまり、これらの対策がそのまま蚊の対策につながるといえるでしょう。
では、ここまでの要素を踏まえ、以下では蚊に刺されないための対策について解説しましょう。
蚊対策で効果的な方法は? まずは正しく知るべき蚊の特性・習性
蚊の特性を知ろう
蚊は、ハエ目カ科の昆虫です。見たことがあるかもしれませんが、オス・メスともに長い口吻を持っています。主食は本来、花のミツや草の汁などで、動物の血ではありません。人を刺す蚊としては、イエ蚊とヤブ蚊があります。イエ蚊は夜行性で春と秋に活発で、ヤブ蚊は夏です。
血を吸うのは、産卵期のメスだけです。卵を発達させるために必要なタンパク質を得るために、動物の血液が必要なのです。動物を探す時に、蚊は汗・体温・二酸化炭素などを感知して寄ってきます。
蚊は血を吸う時に、刺される人や動物に唾液を送り込んでくるのですが、これには刺した時に痛みを感じさせない麻酔作用や、血が空気にふれて固まるのを防ぐ作用があるいろんな成分が含まれています。この唾液腺物質が、刺された後の腫れや痒みを引き起こします。
血を吸ったメスの蚊は主に水中に産卵します。卵は、乾燥した場所でも何年も生き続けることができるため、周期的に水が貯まるようなところであれば孵化してしまいます。卵から数日で幼虫「ボウフラ」になり、1週間でさなぎとなって3日で成虫になります。成虫の寿命は1カ月です。
気候が熱帯に近いアフリカなどでは、1年中、蚊が生存しますが、幸い、日本では現時点では夏に多く、冬に少ない状態です。
身の周りの蚊を減らすことも大切
水たまりを作らないなどの対策も必要
蚊への対策として、まず身の周りの蚊自体を減らすことを考えましょう。ボウフラは水の中で生息し、蚊へと成長するため、自分の身の周りに水を溜めておかないことが大切です。雨水などが溜まった容器はそのままにしないようにしましょう。また、屋内であれば蚊の侵入を防ぐために、網戸に虫よけスプレーをかけましょう。もちろん、屋外に出る時にも蚊に刺されないように、虫よけスプレーが必要です。
さらに、上記でご説明した条件に当てはまる方は、下記の汗対策・体温対策・体表面積対策が重要になります。
蚊に刺されにくくなるための汗対策・体温対策
体温が上がると、汗をかきやすくなります。そのため、体温対策と汗対策は同じです。汗をかいたらなるべく早めに拭きとったり、可能であれば、洗い流すことが肝心です。制汗スプレーを上手に使うとよいでしょう。蚊がいるような環境ではなかなか難しいとは思いますが……理想としては、汗をかかないような冷房のある環境がいいでしょう。蚊に刺されにくくなるための体表面積対策
すぐにできる方法ではありませんが、なんといっても痩せることです。できれば、本格的な夏までに痩せるといいでしょう。痩せるためには食事と運動が大事ですが、運動では汗をかき、蚊を集めてしまいます。本来であれば季節が良く、涼しい時期に運動しておき、少しでも体重を減らしておくことが理想です。代謝がいいと体温を上げますので、代謝のよくなる肉類は避け、野菜系を取り入れるようにしましょう。蚊に刺されにくくなるために黒い服を避ける、肌の露出を減らす
蚊は足を刺しやすいので、できるだけ足を露出させない方がいいでしょう。また、イエ蚊は暗い色を好むため、明るい色の服を着ましょう。今から急に痩せるのは難しいと思いますので、来年までにバランスの良い食事と運動で体重を減らす対策を考えておきましょう。
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