「こうだったらいいだろう」を形にした不二精機の5年手帳
これまで色々な新しいスタイルの手帳を見てきたが、これには本当に驚いた。手帳の新しさは、たとえばスケジュール記入欄が独自のフォーマットだったり、サイズがオリジナルだったりする。しかし、これはメモページの現れ方が他にないオリジナリティにあふれている。きっと多くの人がこうだったらいいだろうという形をしている。このメーカーがすごいのは、本当に実現させてしまったところだ。
不二精機 5年手帳 memo両開きダイアリー 1,800円+Tax。
同社は機械メーカー。永年かけてひとつの商品を開発をする機械メーカーだからこそ実現できたのだろう。
観音開きのように広がりだす
これは手帳のジャンルとしては5年手帳。3年や5年ものというと、日記が一般的だ。それらはサイズもそれなりに大きいものが多い。ところが、これは超コンパクト。サイズは79mm×125mm、厚さ9mmと手の平に楽々収まってしまう。ポケットサイズで5年を書き込める手帳というのはかなり珍しい。ご覧のとおり、5年手帳というわりにはそれほどの厚みではない
小さいサイズのせいで少々厚く見えるがが、そもそも9mmという厚さは数年分の手帳としてはむしろ薄いほうだと言える。それは見開き2ページで4週間(1ヶ月)というフォーマットのおかげだろう。
そして、この手帳の最大の見せ場は、メモページの現れ方。全てのページが観音開きのように広がり出すのだ。昔の雑誌などでよく見かけた「袋とじ」というやつだ。
1ページで2週間というフォーマット。
中の紙にはトモエリバーを使っているという。
袋とじというと、読者自らがピリピリと破るものだが、この袋とじは販売される時点で全ページ切り取られている。袋綴じされていたところをよくよく見てみると、たしかにピリピリと切り取られている跡がちゃんと残っている。
右側のページをよくよく見てみると、袋綴じを切り取ったあとがある
見開き1ヶ月とは言え、さすがに5年分ものページ数があるので、こういう袋とじを切り取る特殊な機械でもあるのだろうと思ってメーカーの方にお聞きしてみると、なんと全て人の手で切り取っているのだという。なんという途方もない作業であろう。
万が一、最後の最後でページの袋とじをピリピリと切りっている時に、誤ってメモページを破ったりでもしたら、その手帳は売り物にならなくなってしまう。緊張感タップリの作業だ。
小さいのにタップリ書ける
その袋とじを、ピリピリと1ページずつ丁寧に切り取ってくれた人に敬意を表しながら開いてみると、各ページにスケジュールページよりわずかに横幅が狭い方眼メモページが出現する。ここにはスケジュール記入欄に書ききれなかったメモをしっかりと書きとめることができる。これまで書き切れなかったメモは、巻末のノートに書いたりしていたが、やはりスケジュールのすぐそばに書いてあった方が断然スケジュール管理もスムーズだ。このように文字通り観音開きとなる。
メモページは方眼になっている
気になるのは、広げたメモに書く時。広げたままでは、手帳紙面との段差がありすぎて書きづらい。そんな時は、反対に折り返してあげれば、手帳紙面の上で書くことができる。
この手帳を取材させていただいた6月時点では、まさにその袋とじの各ページを人の手でピリピリと切り取っている真っ最中だということだった。それだけの手間暇をかけて1,800円+Taxというのはかなりお買い得とも言える。
落ちついた雰囲気のブラウン表紙もある
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