ワンワールド主要メンバーのプロフィール
メンバーの中に、メガキャリアと呼ばれる、世界を代表する大手航空会社が多く含まれていることも「ワンワールド」の特徴です。加盟会社の数で比較すると、最大の「スターアライアンス」は26社(10年4月時点)で、「ワンワールド」の11社の倍以上のメンバーがいます。いっぽう、輸送量(航空業界で一般的な、座席数と飛行距離を掛け合わせて計算する「有償旅客キロ」での比較)では、「スターアライアンス」が28%、「ワンワールド」が20%。平均すると、「ワンワールド」は1社あたりの輸送量が多いことがわかります(08年のIATA・国際航空輸送協会の資料による。ちなみに「スカイチーム」は同25%)。日本の旅行者にも親しまれている主要なメンバーの横顔を紹介しましょう。まずはアメリカを代表するエアラインの1社であるアメリカン航空。ダラス、シカゴ、マイアミ、サンファン(プエルトリコ)を拠点に、世界40ヵ国の250都市以上へ就航しています。日本路線は、成田からダラス、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなど米国本土の主要都市へ展開。日本からは北米各地はもちろん、中米やカリブ海沿岸方面、南米への乗り継ぎも便利です。
ロンドン・ヒースロー空港のBA専用のターミナル5。2008年にオープン。
アジアを代表する航空会社の1社、キャセイパシフィック航空も発足時からのメンバーです。香港を拠地に、世界約30ヵ国の70都市以上へ運航(系列のドラゴン航空を含む)。日本では、成田・関西・中部・福岡・札幌(新千歳)の5空港へ乗り入れています。世界のメディアなどが選ぶ権威のある賞で「エアライン・オブ・ザ・イヤー」(世界最高の航空会社)の称号を得るなど、サービス面でも高い評価を受けています。
オセアニアや南米にも豊富なネットワーク
北欧を代表する航空会社のひとつ、フィンランド航空。近年、アジア路線を急ピッチで増やしており、日本路線も成田(毎日運航)、関西(毎日運航)、中部(週5便)の3空港に就航。週に19便がヘルシンキへ直行しています。日本から見ると、一見遠いイメージのある北欧ですが、同社のヘルシンキ線は日本とヨーロッパを結ぶ最短ルートです。シドニーを拠点に世界の約80都市を結ぶのがカンタス航空。日本では成田に就航し、シドニーとオーストラリア西海岸のパースへそれぞれ直行便を運航しています。エアバス社の総2階建ての超大型機、A380をいち早く導入したことも特徴です。残念ながら日本路線には就航していませんが、欧米への長距離線の一部で運航されています。
加盟各社は一部の機材に、それぞれワンワールドの塗装を施している。
ほかにも、世界各地に「ワンワールド」のメンバーがいます。スペインを代表する航空会社で、ヨーロッパと南米を結ぶ路線などに特に強みを発揮するイベリア航空(同社は2010年4月、BAとの経営統合を決定)、南米を代表する航空会社であるラン航空、09年に11番目のメンバーとして加盟したメキシカーナ航空、中近東エリアで初めて世界的なアライアンスに加盟したロイヤル・ヨルダン航空などなど、顔ぶれは多彩。他のアライアンスに比べると、オーストラリアや中南米、中近東などの路線が特に豊富で、それが「ワンワールド」の強みのひとつとなっています。
新しくロシアやインドからもメンバーが加盟へ
現在の加盟会社数は11社ですが、今後さらに、ロシアのS7航空(シベリア航空)とインドのキングフィッシャー航空が加盟を予定しています。S7航空はロシアを代表する航空会社の1社で、世界の70都市以上に路線をもちます。同社が正式加盟すると、ロシア国内の35都市、およびアルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンなど8ヵ国の空港が新たに「ワンワールド」のネットワークに入ることになります。またキングフィッシャー航空は、単一の航空会社としてはインドで最大の国内線シェアをもつ航空会社。インドの航空会社では初めて全席にパーソナルモニターを設置したり、16チャンネルのテレビのライブ放送のサービスを行ったりと、サービスの質・革新性においても評価の高い航空会社です。クオリティにこだわるという「ワンワールド」のコンセプトにふさわしい新メンバーの加盟が待たれます。これら新規加盟予定の2社を加えると、「ワンワールド」は世界の約150ヵ国の850都市以上を網羅することになります。