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プレイ人数で考えるWii Uの失敗と可能性(3ページ目)

苦戦を余儀なくされている任天堂の据え置きハードWii U。苦戦の理由にWii U GamePadを活かしたゲームが無いという点を挙げる人は多いのですが、果たして本当にそうなのでしょうか? 実は、Wii U GamePadを上手く使ったゲームは初期からあるのですが、いまいちその面白さが浸透していないのです。問題はプレイ人数にありました。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

1人用をみんなで遊ぶ

岩田社長とレジー社長の図

E3では任天堂の様々なチャレンジが発表されました(イラスト 橋本モチチ)

任天堂がE3で紹介したいくつかのゲームのうち、GamePadの活用と、ゲームのプレイ人数という視点から見た時に、1つ、実に興味深いゲームがあります。それが、マリオやゼルダの生みの親として有名な宮本茂氏がE3の任天堂ライブイベント「Nintendo Treehouse: Live @ E3」で紹介した「Project Guard」というゲームです。

迷路のような施設に12個の監視カメラを設置して、侵入してくるロボットを撃退する、というゲーム。単純な迷路にいくつかの入り口、中央に侵入されないように迷路内の好きな位置にカメラを設置します。テレビ画面には真ん中に大き目のメインモニター、その周りに12個のカメラの映像が表示されて13分割になっています。まるで、ドラマや映画でみる防犯カメラの画面が並ぶ守衛室のような映像。ここで、どこかのカメラの前を敵が通る時に、そのカメラをメインモニターに切り替えて表示、弾を撃って攻撃し、破壊することで侵入を防ぐわけです。

12個の画面がずらっと並んでいても、敵がどの経路からどう侵入しているかを把握するのは非常に困難ですから、プレイヤーは手元のGamePadに表示されているマップを見て状況を理解します。そしてGamePadのマップをタッチすることでカメラを切り替え、テレビのメインモニターを見て敵を撃つわけです。しかし、あちこちから次々敵が襲ってくるとどんどん混乱していきます。

さらに当然、敵もいろいろいますから、レーダーに反応せずにステルスで通り抜けようとする敵や、カメラを持って行ってしまおうとする敵など、様々な敵に対応しなければいけません。そこで、周りの人が思わず声をかけるんですね。「5番からステルス来てるよ!」とか「11番、カメラ持ってかれちゃう!」とか。

このProject Guardというゲームは、Wii Uというハードの可能性、ゲームに対する今までに無い関わり方を示唆しています。基本はGamePadとテレビの2画面を使った1人プレイ、そこに、別にコントローラーを持つ必要も無く、ただなんとなく周りで見ている人がゲームに加わることができます。というか、思わず加わってしまう、声を出してしまうゲームなんですね。そのうち、「ええいへたくそめ! 俺にコントローラーをよこせ!」と、そんな光景が目に浮かびそうです。そして実際にGamePadを握り、マップを見ながら全体を把握しようとすると、テレビを眺めて声を出しているのとは違う体験があるわけです。

ただ2画面を使うだけなら3DSでも代用可能かもしれませんが、1人で遊んでるのを周りが眺めるのはテレビじゃないと難しいですよね。しかも、テレビを眺めながら参加する人数に制限はありません。コントローラーを握って、エントリーしてゲームを一緒に遊ぶのとは、ちょっと関わり方が違うのです。

Wii Uというハードが初めて登場した時、ガイドの素直な感想は、すごく面白そうだけど、すごく扱うのが難しそうなハードだ、ということでした。GamePadの扱いは、任天堂ですら手を焼いて、なかなかこれだという方向性を打ち出せていないように思います。

Project Guardはまだ1つの可能性に過ぎませんが、コントローラーを単純に1つ増やすのでもなく、これまでの遊びの補助に使うのでもなく、今までと違う遊び方の提案、リビングにいる人とゲームの新しい関わり方まで踏み込んでいければ、これからまた新しい価値を作っていけるのかもしれません。

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