新しく産直センターが開設
さらに398号線を北東に進むと「十三浜」という、良質なわかめやこんぶ、ホタテ、アワビ、ウニなどが取れる漁村跡に出ます。震災後は早期のわかめ養殖復活をめざし、漁業協同組合や漁師の皆さんが頑張っているとのこと。2年前には津波の跡地が広がっていたこの場所に、2013年4月、その新鮮な海の幸を購入することのできる「十三浜産直センター」ができました。私も今回の取材中に立ち寄り、わかめやふのりなどの特産品を購入することができました。
見事に復活した事務所兼自宅
この産直センターを過ぎて最初のトンネルを抜けた「小指」には、設計事務所を営む佐々木文彦さんの自宅があります。2年前に来た時は津波に耐えた1階のRC造部分のみが残り、木造だった2、3階部分は流されてなくなってしまっていました(【写真13】)。【写真13】2012年4月の石巻市十三浜の佐々木文彦さんの事務所兼自宅(2年前)
【写真13】
2年の時を経て再訪すると、津波に耐えた1階RC造建物の上に新しく木造建物が再建されていました(【写真14】)。
【写真14】2014年6月の同建物(現在)
【写真14】
再建されたまだ真新しい木造部分と、その下の津波に耐えたRC部分。その新旧コントラストが、そこに建っているだけで過去に何があったかを如実に物語っているようでした。
小指バス停
佐々木文彦さんの事務所兼自宅の目の前に、震災後に設置された小指バス停があります。2年前はできたてのバス停でしたが・・・(【写真15】)。【写真15】2012年4月の小指バス停(2年前)
【写真15】
この2年で風化が進み、かなり風情を感じる姿に変貌していました(【写真16】)。手入れをされているのか気になりました。
【写真16】2014年6月の同建物(現在)
【写真16】
今回は、2012年に訪問した石巻周辺の被災地を、再び同じルートでたどってみるという企画を立て、復興がどの程度進んだか確かめてきました。解体されて跡形もなくなり、以前はどこにあったか確認するのか難しい建物もある一方で、そこに建物や人の生活が復活した様子を確認することができた場所もありました。
しかし津波が襲って壊滅した住宅跡地は3年経っても何も変わっておらず、取り残された土台と生い茂る雑草があるのみでした。中には主が帰ってくるのを待つかのように、ひっそりと花を咲かしている庭木があったことが印象に残りました。
土台のみを残す住宅跡地で咲く花
震災から時間が経つにつれて、被災地を訪れる人も少なくなっています。しかし、復興の息吹を感じたり、被災地のあちこちにできている復興商店街で現地の人と触れ合ったり、特産物を購入するという楽しみも生まれています。ぜひ一度足を運んでいただければと思います。
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