行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第30回 士業連携の難しさ(2ページ目)

士業同士が連携して仕事の紹介をし、この循環によって依頼数が安定していく。いろいろな本に書かれている仕事獲得の方法です。しかし、これはなかなか難しいというのが実感です。そこで、士業間の業務連携の難しさについてお話をしたいと思います。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


ネットワークから業務連携へ

次にある程度の信頼関係を構築できたとして、双方にメリットがある業務連携はできるのでしょうか。士業間で双方にメリットがある関係を築く方法として行われているのが、相互紹介や紹介料です。

相互紹介とは仕事を相互に依頼するということです。例えば、税理士は顧問先の建設業者の許可申請を行政書士に紹介し、行政書士は依頼者の相続税申告を税理士に紹介するなどです。

紹介料とは、仕事を紹介した場合、その報酬の一定割合を見返りに受け取るということです。例えば、行政書士が税理士に仕事を紹介した場合、報酬の一部を行政書士に支払うことを意味します。

相互紹介はともかく、紹介料はお金が絡むので、なかなか難しいことは容易に予想がつくと思います。しかし、ある士業では当然のように行われており、確立した相場まであります。

私も何回か紹介料による業務連携のお誘いを受けましたが、お話はお断りしてきました。紹介料制度に違和感があるのです。単に、業務運営が下手だけなのかもしれませんが……。

本当に業務連携の誘い?

業務連携のお誘いを新人が受けることがあります。しかし、中には、自分の事務所に従属をせまるような業務連携の誘いも存在するので、注意が必要です。

例えば、こちらが仕事の紹介をしても仕事の紹介をしてくれなかったり(他の事務所にまわす)、提携という名目で仕事を無報酬でやらされることもあります。他にも、調べものなど事務員のかわりのようなことをやらされるなど。

しかし、逆に、仕事を一方的に紹介されるのもあまりいいことではありません。頭が挙がらず、筋の悪い仕事を押し付けられたりすることもあります。そのような失敗をしていらっしゃる先生方も見てきました。

このように対等関係を構築できない業務連携はあまりいいことがありません。対等関係を構築できないのであれば業務連携はするべきではないと私は思いますし、連携を組んでしまっていたら離脱するべきです。

最後に

その先生や事務所とネットワークの構築や業務連携までするべきか考えるとき、いくつかの選別基準があると思います。士業をどのようにとらえているか、依頼者に対する対応、お金に対する考え方などなど。しかし、結局、ネットワークや業務連携をしたい相手というのは、自分が依頼者だったらこの先生に依頼したいなと思うかというごく簡単な答えに落ち着くものです。
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