マンションを選ぶときには、エントランスなどにおけるバリアフリー対応の様子もしっかりと確認しておきたいものです。とくに古めの中古マンションでは、まったくバリアフリー仕様になっていないことも少なくありません。
部屋の中の「専有部分」はリフォームやリノベーションなど「自分の判断」で対策をとることができるものの、共用部分の改修はなかなか期待できず、マンションの会計に余裕がなければ費用面で対応が困難な場合も多いでしょう。
以前は消費者のマンションに対する永住志向が弱く、一戸建て住宅へ買い替えるまでの「つなぎの住居」として考えられる側面もありました。そのため、老後の生活などに対する十分な配慮がされないままで建てられたマンションも多いのです。
なお、現在でも自治体の条例などによってバリアフリー化が義務づけられているのは、一定規模以上のマンションにかぎられるため、新築なら安心というわけでもありません。
共用部分はエントランスだけではありませんが、そのマンションにおけるバリアフリーへの配慮を端的に表すのが、建物全体の入り口にあたるエントランスです。
エントランスの前が階段状になっていてスロープなどがなければ、車いすでの出入りができないほか、松葉づえが必要なときや、ベビーカーを使用するときも面倒です。車いすでの生活を余儀なくされるのは高齢者にかぎらず、若い人でも十分に考えられる話でしょう。
ただし、エントランスの前は階段状でも、車いす用のルートが別に確保されているケースもありますから、見学のときにさっと見ただけで判断するのではなく、仲介業者や売主に話を聞いてみることも必要です。
また、スロープなどがあればそれで良いという話ではありません。中には、十分な幅がなかったり、勾配が急すぎて実用性のないスロープが設置されていたりするマンションもあります。
さらに、マンションの敷地内だけを見れば問題がなくても、道路面との段差が解消されていないケースもあります。ほんの少しの段差でも、車いすでの自力走行は困難なことがあるため、バリアフリーのチェックをするときには、幅広い視点も欠かせません。
もちろん、エントランスだけではなく、エレベーターホール、エレベーター、階段、外廊下、各住戸の玄関前など、共用部分の全体をしっかりと確認することも大切です。段差だけでなく、それぞれの広さや手すりの設置などについてもよく観察するようにしましょう。
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