東洋医学で考える肌のかさつきの原因とツボ
まず、かさつきタイプの肌荒れから考えてみましょう。肌がかさつくのは潤いが足りないことに原因がありますが、肌に潤いを与える役割をするのは東洋医学の世界では津液(しんえき)であると考えられています。津液とは身体にある水分のことを言い、全身の筋や関節、肌や髪の毛に水分を運ぶ働きをしています。この津液は食生活との関わりが強く、栄養の不足が原因で津液不足になることもあれば、食べ過ぎや偏食など食生活のバランスが悪くなることで脾(ひ)や胃(い)の経絡のバランスが崩れ津液の不足や滞りを生む原因となることがあります。肌あれのなかでもかさつきが気になる方は、特に食生活に気を使い津液の精製と運行をスムーズにすることが改善にポイントになります。
また、脾で作られた津液を全身に送る役割を果たすのは肺(はい)の経絡の役目ですが、この経絡は天候が身体に悪影響をおよぼす六邪(ろくじゃ)の一つである燥邪の影響を受けやすいと考えられます。
肌のかさつきは乾燥の影響により肺の経絡が機能低下し、津液の運行が滞った結果とも考えられるため、室内の乾燥や洗顔のしすぎによる皮膚の乾燥などにも注意する必要があるのではないでしょうか。
これらのことから、肌のかさつきをツボで改善するならば脾と胃、そして肺の経絡の状態を改善する効果が期待できるものが効果的と考えられます。
足三里
胃整える効果がある足三里
陰陵泉
脾を補い津液の精製を助ける陰陵泉
肺のエネルギーを高め津液の運行をスムーズにすると言われる列缺
手首の親指側にある骨の隆起から指幅二本分肘に向かったところにある列缺(れっけつ)というツボは肺の経絡(けいらく)に属しており、優しくマッサージすることで肺のエネルギーを高め、津液の運行をスムーズにします。
東洋医学で考えるニキビの原因とツボ
一方、ニキビタイプの肌荒れはどうでしょうか。こちらの場合は皮脂の過剰が原因となるのですが、東洋医学ではこうした状態を「痰湿(たんしつ)」といいます。この痰湿は先ほどのかさつきタイプと同様に偏った食生活などが原因で脾の経絡が機能低下し、全身の水分代謝が滞ることで体内に「痰(たん)」が溜まってしまった状態を言います。そしてこの痰が肌から体表に出てきたものがニキビであるというわけです。
特に脂っこいものや甘いものを食べ過ぎる傾向の人は痰が体内に溜まりやすいと考えられるので、かさつきタイプと同様に食生活に気を配ることが大切です。
また、軽い運動を行って体内の水分の循環を改善するなども非常に有効だと考えられます。
ニキビタイプでも同様に脾と胃の経絡を改善することがポイントになり、足三里と陰陵泉へのマッサージが重要です。さらにニキビタイプでは、体外に痰を排出する必要があると考えられます。
豊隆
痰を体外に排出する効果がある豊隆
豊隆(ほうりゅう)は膝の外側と両くるぶしを結んだ真ん中の点とを結んだ線の中央にある筋の上に位置しており、体外に痰を排出する効果があると言われています。
東洋医学の世界観においても現代と同様に食生活が肌荒れを改善するポイントであると考えられているのは興味深いところですね。