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またもオフィス視点で見る 2014宝塚記念の「3強」

2013年6月の宝塚記念を「オフィス視点」で紹介してから1年。あのとき登場した個性派社員(馬)が、またも同じ舞台に帰ってきました。ということで、「オフィス視点で見る宝塚記念」の2014年版をお送りします。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド

一年の間に、あの馬たちはどう変わったのか

2014年6月29日に行われるG1宝塚記念(芝2200m、阪神競馬場)。注目の一戦は、ゴールドシップ(牡5歳)、ジェンティルドンナ(牝5歳)、ウインバリアシオン(牡6歳)の「3強対決」と見られています。

このうちゴールドシップとジェンティルドンナは、一年前の宝塚記念において「オフィス視点で見る 2013宝塚記念の個性派たち」として紹介しています。ですので今回は、そこから一年の軌跡を中心に、「オフィス視点で見る 2014宝塚記念の『3強』」をお送りします。

後輩の見本にはしたくない「ゴールドシップ」
その奔放ぶりに磨きがかかる

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唯一無二の個性派といえるゴールドシップ(写真 JRA)

上司に怒られないとプロジェクトに取り掛からない。余裕が出るとすぐにサボろうとする。午前中はお菓子とネットサーフィンが日課だけど、一度やる気になると物凄いパフォーマンスでプロジェクトを成功させる。ゴールドシップの一年前は、まさにそんな性格でした。

つまりはレースでなかなかやる気を出さず、前半は後方から進むゴールドシップ。しかし、騎手が何度も叱咤激励すると「めんどくせえな」とスピードを上げて、ビッグレースを制してしまう。模範とは程遠いけれど、文句なしの力を持つサラブレッドなのです。

一年前のゴールドシップ紹介記事はこちら

そんなゴールドシップも、陣営の徹底指導により昨年の宝塚記念ではマジメな姿で快勝。しかしそれも束の間、やはりゴールドシップは只者ではありませんでした。宝塚記念の後、彼は完全にやる気をなくしてしまったのです。その証拠に、宝塚記念の後に出たG2の京都大賞典を5着、続くG1のジャパンカップでは15着と過去にない大敗をしてしまいます。

どんなに上司の言うことを聞かなくても、最終的には仕事を成功させてきたゴールドシップ。それが昨秋は、最後まで力を出さないまま。そこで陣営は荒療治を行います。

荒療治とは、レースごとにゴールドシップの環境を変えること。つまりコンビを組む騎手を毎回変えることで、気持ちにメリハリをつけ、やる気を引き出そうというのです。

陣営の秘策は、宝塚記念で実を結ぶのか

実績のある社員なら、普通は課の中心となり同じメンバーと長期的にプロジェクトを進めるもの。しかしゴールドシップは、まるで若手社員のように、いろいろな社員と手を組んで絶えず異なる環境で仕事を進めることになったのです。

その効果が出てきたのか、ジャパンカップの後に出た昨年12月のG1有馬記念では3着、休養後に挑んだ今年3月のG2阪神大賞典では久々の勝利と、徐々に息を吹き返します。

ただ、何度も言うようにゴールドシップは只者ではありません。迎えた5月のG1天皇賞・春では、スタート直前に突然唸り声を上げ、大きく出遅れ。それが響き、7着に沈みます。どうやらスタートの前、係員にお尻を触られてゴールドシップが怒ったとのこと。意外にデリケート。いずれにせよ、クライアントの前で怒ってしまったようなものです。

そして迎える、2014年の宝塚記念。今回も、コンビを組む騎手は前走から変更。ベテランの横山典弘騎手が手綱を取ります。この一年、苦労の多いゴールドシップですが、もちろん逆転の可能性は十分。本気になったときのあの迫力、そして憎めないその個性。2014年の宝塚記念では、久々に問題社員の全力が見たいです。そのときは幸か不幸か、4月から入った新入社員の憧れの的になるでしょう。

続いては、牝馬のジェンティルドンナを紹介します。

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