行政書士試験/試験対策・勉強本の選び方

行政書士試験 判例の勉強方法(2ページ目)

行政書士試験において判例の重要性は増すばかりです。しかし、受験生から判例の勉強方法がわからないという相談をよく受けます。そこで、今回は判例の勉強方法についてお話をしたいと思います。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


結論型の勉強法

適切な暗記をするためには、まずは、法律科目の各分野について、結論型か判断基準型かそれをしっかりと把握するべきです。混在している場面もありますが、とりあえず、分類をしてみましょう。

結論型は、他の判例と区別するための事案の識別と結論さえわかれば答えが出せます。つまり、暗記する量が圧倒的に少ないのです。事案の暗記も必ず出てくるキーワードに印をつけるなどして、できるだけ覚える量を減らします。結論型は判決の判断基準を省略できるので、暗記量を相当程度減らすことができます。

そして、実際、結論型は各科目で出題されています。例えば、憲法ならば、違憲か合憲か、民法ならば、法定地上権が成立するか不成立か、行政法ならば、行政事件訴訟法の処分性が認められるか認められないかなどです。

判断基準型の勉強法

ただ、結論型ばかりが出ているわけではありません。判断基準型の出題もあります。例えば、憲法における違憲審査基準、民法における177条の第三者の意義、行政法における行政裁量の判断過程審査などです。

結論型は、判例を識別出来て結論だけを覚えればいいので勉強がしやすく、ひっかけも、合憲だったら違憲、不成立だったら成立など簡単です。それと比べると判断基準型は勉強がしづらいのです。ひっかけ方も多種多様ですし、どこまで正確に暗記すればよいのかという暗記の精度の問題も生じます。

ひっかけ方として代表的な方法は、置き換え(反対語や反対説)、原則と例外の逆転、審査基準の有無などが、過去問から挙げられます。やはり、どういったひっかけ方をしているのかを過去問からしっかりと勉強するべきです。ひっかけ方は各科目に共通する汎用性の高い知識ですので、勉強に有益です。

次に、暗記の精度ですが、これは主に記述対策で問題になります。記述では判例の判断基準を書かなくてはいけないからです。皆さんがかなり負担に感じるようなのですが、記述式における判断基準型の出題は多いわけではありませんので、それほど深刻に考える必要はないと思います。

判例評釈型の勉強法

判例評釈型は国語の問題ととらえてください。もちろん暗記事項により解答を出せることもありますが、多くの場合は現場思考型の問題です。判例評釈型は択一式で判例評釈として出題されることが多いですが、多肢選択式における判例の出題も同様のパターンと考えてもいいかと思います(判例評釈よりは暗記事項の重要性が増しますが)。

法律の問題と言うよりも国語の問題と割り切ってしまうのも方法です。国語を解くテクニックを使うことによって、解答に結びつくこともあります。単に知識を思い出すという側面よりもその場で考えることが多いのです。事前に対策をたてにくいので、割り切ってしまった方がいいと思います。

最後に

本来の判例の勉強は、判決の意義、判決の射程、残された問題などを理解することです。しかし、試験対策上、割り切りが必要です。どこまで割り切っていいか、それは過去問を丁寧に解いていくとある程度わかってきます。やはり何と言っても大事なことは、過去問の検討なのです。
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