行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第29回 新人の甘い罠(2ページ目)

開業相談を受けると、自分が開業した当時のことを思い出します。今回は新人行政書士を待ち受ける甘い罠というお話です。自分自身の経験や聞いた話などを織り交ぜていきたいと思います。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


勘違い依頼者からの依頼という誘惑

新人がせっかくきた依頼を断る。なんて罰当たりなと思う人もいるかもしれません。しかし、行政書士にはできることとできないことがあります。新人にとっては喉から手がでるほど欲しい依頼ですが、断らないといけない依頼があるのです。

だいたいが軽い紛争案件です。弁護士に頼むほどじゃないから行政書士にでも依頼しようというパターンです。弁護士だと高いから行政書士で安く済ませようと思っている人が大半です。おそらく、漫画やドラマの影響を受けてのことだと思います。依頼者は勘違いをしています。行政書士には紛争に関与する権限がありません。

私も新人時代にこの手のお問い合わせを頂きました。やりようによっては受任できる案件もあったと思いますが、弁護士法に触れる可能性がある以上、事情を説明してその度にお断りをしてきました。

新人は前のめりになっています。生活がかかっている場合もあるでしょう。借入金があるかもしれません。ですが、その依頼は行政書士の受任できる依頼ではありません。弁護士法違反で逮捕されることもあります。ご注意ください。

はめる依頼者

私は経験ないのですが、新人を狙ってはめる依頼者がいるとの話を耳にします。いわゆるブローカーと言われる人達からの入管関係の(違法な)依頼です。これも行政書士会で厳しく指導を受けるので、大丈夫だと思うのですが、それでも甘い誘惑に勝てない人もいるようです。その結果、逮捕されて新聞に掲載されることもあるのです。

簡単な仕事なんてありません。ましてや、ほとんどの書類を依頼者がつくって、行政書士が印を押すだけで数万円から数十万円も貰えるというのはどうみてもおかしいです。

入管関係の依頼は独特の難しさがあるので、新人行政書士はできるならば先輩行政書士と共同受任をして指南を受けた方がいいかと思います。

報酬の高さという甘い罠につられると取り返しのつかないことになってしまいます。数十万円という報酬は一見高いように思えますが、一生を棒に振る可能性を考えると、全くつり合いがとれていません。ご注意ください。

最後に

新人時代は経験も少なくやる気が空回りするとても危険な時期です。そこを狙ってくる業者や依頼者がいます。新人行政書士はウブなので誘惑と認識していない人すらいます。だまされないためには、得るものと失うものを天秤にかけて、常に冷静かつ合理的な判断を心掛ける必要があると思います。
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