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5月はインドやロシア株ファンドが堅調

2014年5月の日経平均株価は、2014年に入ってから初めて月足が陽線となりました。しかし、日経平均株価の上昇率を上回る国たくさんあったことから、残念ながら投資信託の騰落率ランキング上位に日本株ファンドは入りませんでした。資金の流出入額を含め2014年5月の投資信託の状況を見てみることにしましよう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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インド・インフラ関連株ファンドが好調

「セル・イン・メイ(5月に株を売れ)」という投資の格言がありますが、2014年5月の世界の株式市場は格言通りにいかず、月末にかけて堅調に推移しました。日本の株式市場でさえ、日経平均株価は2014年に入って初めて月足が陽転したのです。そのような堅調な世界の株式市場の中で、上昇率が目立ったのは新興国市場、中でもインド、ロシアでした。

純資産総額10億円以上、DC(確定拠出年金)、SMA(ラップ口座)、ETF(上場投資信託)を除く、2014年5月、1ヵ月間の騰落率上位はインド株とロシア株ファンド一色でした。ちなみに、ETFを入れると「マザーズ・コア上場投信」が騰落率28.69%で第2位にランクインすることになります。

5月の1位は、HSBC投信が運用する「HSBC・インド・インフラ株式オープン」で、騰落率は29.23%の好成績となっています。第2位には、アムンディ・ジャパンが運用する「アムンディ・インド・インフラ株式ファンド」で、同19.21%。第4位には、イーストスプリング・インベストメンツが運用する「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」で、同18.65%というように、インド株の中でもインフラ関連株式に特化したテーマ株ファンドの運用成績が好調でした。

インドでは5月中旬に総選挙が行われ、選挙前から政権交代が確実視されていました。ナレンドラ・モディ新首相は、長年グジャラート州を率い、同州はインドで最も経済が良好な州の1つとなりました。経済通であるモディ氏の政策手腕を期待して、株式市場は総選挙を先取りする形で上昇。選挙が終わっても期待先行で株式市場が上昇を続けていることが、インド株ファンドが好調の要因と考えられます。

ちなみに、5月の第3位は、新生インベストメント・マネジメントが運用する「新生・ズベルバンクロシア株ファンド」で、騰落率は19.04%でした。ロシアとウクライナの間の緊張が緩和気味に推移したこと。ロシアの主力産業であるエネルギー、中でも天然ガスの供給契約を中国と結んだことにより、投資家心理が好転し株式市場が上昇したのでしょう。

ロシア株ファンドは、騰落率の8位、10位にもランクインしていますが、残り7本は全てインド株ファンドでした。騰落率ランキングを20位まで見ると、第16位にJPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPM店頭株オープン96」が騰落率11.59%でランクインしています。低迷していた日本株にも光明が見えつつあるようです。

久し振りに1000億円超の資金流入

今度は、2014年5月の投資資金の流出入額を見てみましょう。

2014年5月の投資資金の流出額トップは野村アセットマネジメントが運用する「野村ハイパーブル・ベア3(日本ハイパーブル3)」の325億円でした。同ファンドは2014年6月9日に償還を迎えたことから、償還前に乗り換えが進んだ結果と考えられます。事実、同ファンドと同じ商品設計の「野村ハイパーブル・ベア4(日本ハイプーブル4)」には、180億円もの資金流入がありました。ただ、差額の145億円は投資を控えたのか、ブル・ベア型ファンド以外に乗り換えたのだと推測されます。

資金流出第2位は、国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の264億円。第3位は、大和証券投資信託委託が運用する「ブラジル・ボンド・オープン」の220億円でした。両ファンドとも資金流出が続いていますが、流出額にはブレーキがかかりつつあるようです。

一方資金流入では、2014年に入って初めて単月の資金流入額が1000億円を超えたファンドが登場しました。2014年3月を除けば、半年以上も資金流入のトップになっている野村アセットマネジメントが運用する「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(通貨選択型)米ドルコース(毎月分配型)」です。資金流入額は1126億円ですから、もしかしたら野村ハイパーブル・ベア3(日本ハイプーブル3)からの乗り換えがあったのかもしれません。

第2位は、フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」で561億円、第3位はアムンディ・ジャパンが運用する「アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)」の375億円でした。

純資産総額第2位の新光投信が運用する「新光US-REITオープン」は、5月の資金流入額ランキング第6位ですが、269億円の資金流入額と、安定して200~350億円前後の資金流入が続いています。

資金の流出入額のランキング上位の投資信託は、変わりばえがしない状況が続いている印象がします。日本株が5月下旬から上昇に転じていることから、6月に日本株ファンドの情報を伝えられたらと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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