ターボ付きの高回転型、新設計ストレート6
V8から直6ツインターボへ。流行のダウンサイジング=高性能化と高効率化の両立だ。4リッターから3リッターへときっちりダウンサイズしたにも関わらず、ピークパワーで先代V8を11ps上回る431psを獲得。トルク特性にいたっては、ツインターボのおかげで、1850rpmから旧型比約4割アップの550Nmを発揮するに至った。当然ながら、CO2排出量は194g/kmと先代V8の3/4以下に抑えられている。新設計のM社謹製ストレート6。ナカミはやはり、特別だ。高精度の直噴ヘッドに、バルブトロニック&ダブルVANOS、シングル・スクロール式ターボチャージャー×2という手慣れたシステム構築に加えて、ライナーレスのシリンダーブロック、クローズド・デッキの専用クランクケース、鍛造クランクシャフト、軽量マグネシウム製オイルパン、といった具合に、レース・テクノロジーもオンパレード。
結果、なんとこの新ストレート6は、過給器付きであるにも関わらず、最高回転数7600rpmという高回転型エンジンとなった。先代V8の8000回転以上には及ばないまでも、S54の3.2リッター自然吸気エンジンに迫る高回転キャラクターを得ている。
組み合わされるミッションは7速M DCTデュアルクラッチシステムで、M4ではブリッピング機能のついた6速マニュアルギアボックスを選ぶことも可能だ。
パワートレイン以外で優先順位の高かった開発テーマは軽量化だ。なかでも炭素繊維強化樹脂(CFRP)の応用は昔からMが最も得意とするところ。今回はセダン(M3)のルーフパネルもCFRPとなり、M4ではルーフパネルのみならず、トランクリッドの骨格素材にもCFを混ぜて使用した。ちなみに、両車のストラットタワーバーやプロペラシャフトもCFRP製だ。
もちろん軽量化はなにもCFRPだけで達成されるものではない。エンジンフードやフロントフェンダーがスチール製からアルミニウム製に変更されるなど、他にも様々な軽量化策が採られた。その結果、新型M4は、先代M3クーペ比で、およそ80kgのダイエットに成功している。
M3&M4が目指したパフォーマンス・ターゲットのひとつに、レーストラック性能の大幅な向上があった。これは、高性能パワートレインや軽量化はもちろんのこと、エアロダイナミクスや各種電子制御システム、シャシーセッティング、ブレーキシステムなど、広範囲なレベルアップによって達成されている。