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特別な1日を振り返る ダービー観戦ドキュメント(2ページ目)

日本ダービーは、競馬関係者にとって特別な1日。そしてファンにとっても、1年でもっとも盛り上がる1日です。しかもその盛り上がり方は、競馬を知らない人からすれば驚くもの。ということで今回は、ダービー観戦ドキュメントをお送りします。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド


いよいよ開門。まるでレースのような光景

【7時20分。東京競馬場が開門】
S氏と9割はダービーの話、1割は仕事のグチを言い合っていると、ついに7時20分がやってきました。私が並んでから1時間半。それよりずっと長く待っていた熱きファンもいます。

開門の瞬間、競馬ファンにはおなじみの壮絶な光景が繰り広げられます。つまり、「開門ダッシュ」。入口から自由席まではかなり距離があり、そこで少しでも早く自由席に辿りつきたいファンたちが一目散に駆け抜けるのです。

もちろん、これは危険なので望ましいことではありません。ただ、気持ちは分かるんです。
dash

毎年繰り広げられるダービー朝の光景です。


【7時30分。早朝にしてこの観客】
この日、東京競馬場の第10レースに組まれている日本ダービーはおろか、第1レースが始まるのも10時05分。それなのに7時半でこの光景。私がざっと数えたところ、すでに2万人はいます。
7ji

時間の感覚がおかしくなりそうな人の多さ
 

ここで語りたくなる、今年のダービー応援馬

私とS氏も無事に席を確保し、とりあえずはひと段落。なにせレースまで1時間半もありますから、やることはありません。ひたすらS氏とアイドルの話……ではなく、競馬の話をするのみです。私は、ダービーで応援するイスラボニータについて、S氏に熱弁していました。

イスラボニータ。ダービーで1番人気に推されている最有力馬です。日本ダービーは、3歳馬が一生に一度挑む「世代ナンバーワン決定戦」。ただし、同じく3歳馬同士で、4月にG1皐月賞(芝2000m・中山競馬場)を戦っています。その皐月賞を制し、今日を迎えたのがイスラボニータでした。

コンビを組むのは、トップジョッキーの蛯名正義騎手。2年前にハナ差2着となったことはあるものの、いまだ栄冠は手にしていません。その2年前は悔し涙を流した蛯名騎手。

しかしダービーの2レース後に、蛯名騎手はいつも通りの集中力で重賞レースを制しました。当時、彼のプロ意識に感動したものです。だからこそ、今年はぜひ勝ってほしいと思っていました。

第1レースから大歓声に包まれる

【10時5分。第1レースがスタート】
開門から約2時間半。ついに、この日の開催が始まります。普通、朝の第1レースは人もまばらで落ち着いたもの。ですが、今日だけは違います。

スタート前のファンファーレで歓声が起き、直線は声援で実況が聞こえません。こんなに盛り上がる第1レースはほかにないんです。レースに出る馬も驚くのではないでしょうか。
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第1レースに出走する馬たちが出てきました。


さあ、あとはひたすらダービーデーを楽しむだけ。とりあえずビールを飲みます。
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早起きした自分へのご褒美として一杯。
 

今年のダービー応援馬 ~パート2~

ビールを飲む間に時は流れ、第2レース、第3レースと進んでいきます。この間も、隣りのS氏は一向に自身のダービー予想を教えてくれません。ですので、またも私がダービーの展望を熱く語りました。

話題の主役はワンアンドオンリー。先ほど紹介したイスラボニータの蛯名騎手が「悲願のダービー」なら、3番人気のワンアンドオンリーも同じく「悲願のダービー」です。

ワンアンドオンリーを管理するのは、大ベテランの橋口弘次郎調教師。名馬を多数育ててきた名伯楽も、まだ手にしていないのが日本ダービーのタイトルです。数えること2着4回。そして、調教師の定年まで2年と迫った今年、ワンアンドオンリーで挑むことになりました。

蛯名騎手と同様、橋口調教師に「ダービーを勝ってもらいたい」と思っている人は多かったでしょう。

しかもワンアンドオンリーの父は、かつて橋口調教師が管理し、ダービーで2着と涙をのんだハーツクライ。ワンアンドオンリーの手綱をとるのは、父のダービーでコンビを組んだ横山騎手。こんなドラマチックな話があるでしょうか。

私はイスラボニータを応援していましたが、「もし負けるなら、ワンアンドオンリーであってほしい」と思っていました。

【11時35分。第4レースがスタート】
お昼時を迎え、人の数もどんどん増えます。この日は30度を超える真夏日。汗ばみながらも、ダービーが待ち遠しくてなりません。
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1レースよりグッと人が増えていることに気付くはず。


そしてこの時、同じく競馬仲間で敏腕編集者のH氏が到着。先日話したとき、「愛する子どもに『バイバイ』を言ってから競馬場に行く」と言っていたH氏。かたや独身、朝から競馬場に来ている私は、その幸せぶりに嫉妬したものです。

でも、悔しがってはいけません。競馬場に来れば、みな同じ一人のファン。ダービーに出るサラブレッドだって、高値で引き取られたエリートもいれば、少しずつ努力して出世した馬もいます。ワンアンドオンリーだって、デビュー戦は12着。それから成長して一躍ダービーの有力候補になったのです。

次ページでは、ついに日本ダービーがスタートします。

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