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投資信託販売の最前線で異変?

いささか古い話で恐縮ですが、今年2月に金融庁が、投資信託の回転売買をさせないようにするため、金融機関の営業担当者の評価基準を、販売手数料重視にしないように要請すると共に、立ち入り検査を実施しました。結果、地方銀行が独立系投資信託会社との連携を深めるなど、面白い動きが出てきています。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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販売手数料に偏る収益構造

ある外資系証券会社のアナリストが試算したところによると、日本のリテール証券会社の収益構造は、「年金を含む投信販売コミッション」が40%前後で、「株式売買コミッション」が10%前後、「投資信託の残高フィー」は15%前後という構成になっています。

これが何を意味するのかというと、新しい投資信託をどんどん買ってもらわないと、証券会社のリテールビジネスからもたらされる収益の40%が、大きく目減りするということです。で、実際に多くの証券会社は、投資信託の販売コミッション、つまり手数料を稼ぐため、すでに投資信託を保有している顧客に解約を促し、そのお金で新しい投資信託を買ってもらうという回転売買を行ってきました。
それに対して、金融庁が「ノー」を突きつけたわけです。

今、投資信託の販売最前線では、新しい動きが出始めています。たとえば、秋田銀行は、独立系投資信託会社であるレオス・キャピタル・ワークスのファンドを取り扱い始めました。さらにセゾン投信にも、複数の地方銀行からファンドを扱いたいという声が掛かっています。

経営基盤強化の一歩

独立系投資信託会社はこれまで、「直販」といって、自分のところで運用しているファンドを、原則として自社で販売してきました。

ただ、それが結局、良いファンドを運用しているにも関わらず、なかなか純資産残高の増加につながらない理由のひとつでもありました。言うまでもなく、証券会社など販売金融機関からの勧めで投資信託を購入している層が多いからです。
ファンドにお金が集まらないと、投資信託会社の経営そのものが続けられなくなります。かつて独立系投資信託会社の一角を形成していた「浪花おふくろ投信」、「かいたく投信」、「楽知ん投信」の3社が、運用資金集めに苦労した挙句、経営統合せざるを得なかったという事実もあります。

もし地方銀行などが、独立系投資信託会社が主張する長期投資に対して、本当の意味で理解を示して販売するならば、独立系投資信託会社にとっては強い味方になります。

独立系投資信託会社の経営基盤も強固になるでしょう。これまで経営面が心配で独立系投資信託会社のファンドを買えなかったという人にとって、この流れは朗報です。「地方銀行×独立系投資信託会社」の流れは、投資信託ビジネスを大きく変えるきっかけになるかも知れません。
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