ベルギー/ベルギーのグルメ・レストラン

誰もが知るベルギーチョコレートの定番、ゴディバ

ベルギーは誰もが認めるチョコレート大国。中でも、世界中で断トツの知名度と人気を誇るのが、ゴディバ。ブリュッセルなどの都市では、街のあちこちに数え切れないほどのチョコレート名店が立ち並び、日本のデパ地下でもベルギーチョコが溢れるというのに、ゴディバの人気は衰えるところを知りません。

栗田 路子

執筆者:栗田 路子

ベルギーガイド

お馴染み! ベルギー生まれの高級チョコレート、ゴディバ

地下鉄シモニス駅横にある

ゴディバの本社

ベルギーチョコといえば、ゴディバ。ゴディバといえば、ベルギーチョコ。これだけ多くの老舗名店チョコレートがある今日も、他の追従を許しません。日本ばかりでなく世界中から愛されるまさにベルギーチョコの頂点、世界のゴディバをご紹介します。

世界銘柄は意外に素朴

「世界一のベルギーチョコメーカー」と聞くと、巨大オートメ設備を備えた、
ちょっとスノッブな大会社をイメージするかもしれません。でも、ブリュッセル北部の下町、地下鉄シモニス駅の隣にある本社を訪ねてみると、それは、あっけないほど地味な外観。ベルトコンベアに乗ってがんがん大量生産させる工程はなく、ひとつひとつ丹精込めて作られています。今もここで北米向け以外のすべてのチョコが製造され、世界中に輸出されていると/とても信じられないほどです。

今も皆の思い出の中に生きる

GODIVAの父、ピエール・ドラップス氏(c)Godiva

中に入ると、受付ロビーには、チョコレートを愛し、チョコへの情熱を生き抜いた創業者ピエール・ドラップス氏を偲ぶ写真がいくつも飾られ、地元の移民層を積極的に取り込んだ従業員が3交代24時間体制でにこやかにキビキビと働く姿に、「ゴディバはやっぱりベルギー人のハートそのものなんだ」と感じます。

そんなゴディバも、一時アメリカ企業(缶スープで有名なキャンベル社)に買収されたため、ベルギー人からは「ハートを売った」と陰口を叩かれたこともありました。2008年には、キャンベルから、ヘーゼルナッツなどを扱うトルコの菓子原料・製菓会社ウルケルに転売されたのですが、広報担当によれば「ウルケルは、アメリカ的やり方とは異なり、ベルギーらしい経営やチョコ作りの伝統をとても尊重して、ベルギー人のやり方に任せてくれている」のだとか。地元ベルギー人のチョコレートへの熱い思いがあってこそ、王者の貫禄を維持しつづけることができるのでしょう。


業界をリードする新製品、伝統となるクラシックなアイテム

ひとつひとつ手作りだ

チョコの飾りつけ

きめ細かく砕いたヘーゼルナッツやアーモンドとキャラメルシュガーを練り合わせ、丹念にチョコレートを被せたプラリネ。諸説ありますが、ゴディバの父、ピエール・ドラップス氏が1926年、この宝石のような一粒チョコレートの伝統を築いた一人であることは疑う余地がありません。ベルギー人は、こうしたチョコのバラエティを、既成の詰め合わせではなく、自分の好みで選んで量り売りで買います。ベルギー人の日常では、ちょっとした手土産としても定番アイテム。その時に入れてもらうバロタンと呼ばれる美しい贈答用の小箱やリボンを考案したのも、ゴディバと言われています。

映画「風邪と供に去りぬ」から

クラシックな定番シニアチュール

世界のゴディバになった今も、職人さんが小さな作業テーブルを囲むように座って、ひとつひとつ丁寧に飾りつけていく様子はほとんど感動もの。たとえば、「風と共に去りぬ」を記念して、1949年に開発された「Signature」(仏語ではシニャチュール。スカーレット・オハラの帽子の羽からデザインしたもの)などは、外せない定番。

新鮮なイチゴのチョコディップなどで、毎年業界の流れを創って行く新企画も登場させています。最近では、グランプラス周辺の多くのチョコショップでもやり始めたこのイチゴのチョコディップ。GODIVAのそれは、イチゴの美味しさもとびきりでチョコレートの表面に、上品なGODIVAの刻印入りです。

 

ゴディバ?ゴダイヴァ? そのネーミングはどこから?

GODIVAの刻印入りだ

イチゴのチョコディップ

英語圏に旅したことのある人なら、「ゴダイヴァ」という発音に違和感を覚えたかもしれません。名前の由来は、11世紀、英国の伝説のヒロイン「Lady Godiva」。重税を課そうとする暴君ゴディバ侯爵に立ちはだかり、苦しむ庶民を守ろうと立ち上がった勇気ある侯爵夫人にちなんだもの。英語圏では、Iをアイと発音するため、ブランド名の発音が異なるわけ。パワハラ君主に抵抗する庶民の味方を、『チョコレート』のネーミングとシンボルマークに選んでしまうところに、ベルギー人気質を感じてしまいます。

 

グランプラスの本店から世界へ

1956年にできた一号店

グランプラスに面した本店

グランプラスに第一号店をオープンしたのが1956年。その後国内各地に、そしてパリへと発展。66年にはアメリカ、72年には日本橋に出店し、現在80カ国強。グランプラスの本店は2007年リニューアルして再デビュー。ベルギー旅行のチャンスには、ぜひとも伝統の本店で世界のゴディバをショッピングしてみてください。

<DATA>
Grand Place/Grote Markt本店
住所:Grand Place - Grote Markt 21-22, 1000 Bruxelles-Brussel
TEL:02 511 2537
アクセス:ブリュッセル中央駅より徒歩3分
営業時間:9:00~23:00(月~土)10:00~23:00(日・祝)
無休

ブリュッセル中心街では、ギャラリー・サンチュベール入り口、サブロン広場、ステファニー広場、また、ブリュージュ、アントワープなど国内主要都市に、数多くの店舗があります。

時間に余裕がある場合には、本社付近のアウトレットで、地元民に交じって「多少の傷物」を買い込むのも旅の醍醐味かもしれません。

<DATA>
■GODIVAアウトレット
住所:Avenue de Jette 4 , 1081 Brussels
TEL:02 422 1798
アクセス:地下鉄2番または6番でSimonis-Elizabeth駅から徒歩2分
営業時間:10:00~18:00(月~土)、日祭休み
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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