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【国産杉による家具】初の針葉樹曲げ技術(2ページ目)

【石川 尚の気になるデザイン】シリーズ。天童木工は、国産材針葉樹を曲げ加工できる技術を発表した。針葉樹木製ファニチャー(家具)の新たなデザインの領域を切り開く技術として注目されている。取材協力:株)天童木工

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

天童木工は、3年前からスライサー加工機、圧密ロール機など約一億円をかけて設備導入をし、針葉樹を使った成形合板による曲げ加工の開発に入った。

直径400ミリと300ミリのローラーによる圧密加工技術

ここからは、少し専門的な内容になるが、

まず丸太を製材して角材をつくり、厚突き可能な専用スライサー加工機でスライスして単板をつくる。同社が導入した加工機は、杉などの角材を0.5ミリから14ミリまで連続してスライスすることができる。

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圧密工程と成型工程


圧密工程では、直径400ミリのローラーでしっかり圧密をかけ、次に直径300ミリのローラーで元にもどらないように圧密を固定化する。単板を挟む上下のローラーは、約200度前後に加熱されているが、熱がかかる時間は極めて短ため杉の天然の色は生かせるとのこと。圧密は0.5ミリまでかけられる。

単板の中身に空隙(くうげき)をつくり、接着剤、不燃材、樹脂の含浸(がんしん)加工などができるインサイジング加工もできる。圧密後は同社の従来の方法で接着剤を塗布して重ね合わせ、治具で加工・加熱する成形合板加工を行なう。
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杉材による成型ディテール            (C) NAO ISHIKAWA


この技術開発で2013年2月末に成形合板の圧密化技術と、同技術を使用した家具についての特許出願している。また圧密ロール機については三菱重工側で特許を取得しているとのこと。

針葉樹なので50%の圧密をかけても曲げ強度が2倍になる訳ではなく、設計強度的には1.7~1.8倍とみて、椅子の幅を若干広くしたり、厚くしたりする必要がデザインの注意点として挙げられる。

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素材の比較 各々フレーム材は杉(左)、ブナ(右)         (C) NAO ISHIKAWA

実際ショールームで展示されている杉材の椅子をみると若干幅広や厚めのディテールに目がいく。
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素材の比較 ブナ(右)に比べ杉(左)は、幅広く、厚さがある。    (C) NAO ISHIKAWA


しかし、杉材の真直ぐな美しい木目による色あいの視覚的効果、軽く温かい手触りの触覚的効果、どこか懐かしい香りの嗅覚的効果など、インパクトがあり、新鮮である。

と、同時に「強烈な日本的風合」という既成概念がどうしても拭えないが、今後どのように料理(デザイン)するかが、楽しみである。

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