返済で苦しむ奨学金利用者のための救済策

日本学生支援機構の奨学金を借りて学んだものの、「返せない」ことで苦しんでいる奨学金利用者がいます。個人信用情報に載せられるなどの厳しい対応に対して批判もあったためか、いくつかの救済策が設けられました。

奨学金滞納者は約19万人にも上る

奨学金

奨学金を重く感じ過ぎたら利用できなくなる?

2012年度の日本学生支援機構の奨学金利用者(※1)は約323万人。その一方で19万4000人(同年度末時点)が滞納しています。滞納者の83%が年収300万円未満で、離職・休職者や非正規雇用者(派遣社員やアルバイトなど)の割合が高くなっているとのこと(※2)。

奨学金といえども、返済が3カ月滞ると個人信用情報機関に登録され、クレジットカードが作れなくなったり、住宅ローンの利用などができなくなったりします。返済してもらわないと次の学生の貸し出しに影響が出るわけですから、ある程度厳しいのは仕方ないのかもしれません。

ですが、機構でもすでに救済策は導入しています。本人の年収が300万円以下の場合に返済を最長10年猶予する制度や、返済期間を延ばすことで毎回の返済額を減額する制度などがあります。なのに、そうした制度も使わずに滞納してしまう利用者が後を絶たないのが現状です。

延滞者に対して、2014年4月から新たな救済措置が導入されました。主に5つあります。

追加救済措置1:延滞金の賦課率の引き下げ

延滞金の賦課率は年10%でしたが、2014年4月1日以降に発生した分については5%に引き下げられました。

追加救済措置2:返還期限猶予制度の制限年数の延長

2014年4月から、返還期限猶予制度によって猶予できる年数が従来の「通算5年」から「通算10年」へと延長されました。

追加救済措置3:減額返還制度・返還期限猶予制度の対象となる基準の緩和

「経済困難」を理由として減額返還制度や返還期限猶予制度を受ける場合の収入基準額は、給与所得で年収300万円、自営業などは年所得200万円でしたが、2014年4月以降はこの基準額が緩めになりました。

具体的には、2014年4月から、下の控除を差し引いて収入基準額を下回る場合にも、減額返還制度や返還期限猶予制度を利用することができるようになりました。

1)本人の被扶養者 1人につき38万円(親等へ生活費補助の控除も同額)
2)減額返還適用者は一律25万円を控除

追加救済措置4:延滞者に対する返還期限猶予制度の適用

延滞者であっても、傷病や生活保護受給などで返還が困難であると確認された場合は、延滞分も据え置き、猶予申請月より返還期限猶予制度を適用。猶予制度の適用期間中は延滞金の加算はありません。

追加救済措置5:減額返還制度の申請書類の簡素化

奨学金

良く学び、そしてしっかり就職を

2014年3月以降の貸与終了者(在学猶予終了者含む)については、返還開始より 1年以内(貸与終了または在学猶予終了の翌年に当年度の所得証明書が発行されるまで) の初回申請時に限り、収入証明書等の証明書類の提出が不要となりました。

その他、新たな取り組みも

滞納者へのアンケートによると、猶予制度や減額制度について「知らない」あるいは「手続きがよく分からない」との回答がかなりの割合を占め、周知することの必要性も再確認されました。

そのため、防げる延滞を防ぎ、また延滞してしまったとしても長期化を防ぐため、学校と連携して奨学生に対する奨学金制度の周知徹底その他にも着手しました。

提言:「借金臭」のする名称に変更を!

個人的な意見ですが、契約のなんたるかを理解しない状態で借入を行っていることは大きな問題ではないかと思います。また、奨学金に限らず、契約が果たせないときに取るべき行動について、大学4年間でしっかり学ぶ機会があるといいのではないかと思います。

また、そもそも「借金」である意識を薄れさせがちな「奨学金」という名称も問題だと、以前から思っています。給付型だけを奨学金と呼び、貸与型はたとえば「奨学ローン」などもう少し「借金臭」のする名称へ変更すれば、利用する際の覚悟は少し違ってくるのではないでしょうか。

もちろん、そもそも給付型奨学金が少ないことが大きな問題。年収が一定以下の成績優秀者がもらえる奨学金を、早く増やしてほしいものです。

(※1)2012年度に返還期日が到来した要返還者数
(※2)日本学生支援機構「平成24年度奨学金の延滞者に係る属性調査結果」による

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