イチオシは秋から冬の限定品、生かきそば
ここならではの一品としては、“もずくそば”がおすすめ。もずく&カイワレを添えた蕎麦に、つゆをかけていただくのですが、もずくがもたらすヌメリ、清涼感、やさしい磯の香りが、蕎麦の風味と見事なマリアージュを奏でます。もずくの水分によって、濃い目のつゆも程よく中和され、わさび、葱、カイワレのシャープな辛みが味に締まりを。数滴のレモンを搾れば、爽やかさ&しっかりとした味の輪郭も浮かび上がってきます。“せいろ”の粋なおいしさとは違った、脇役の存在が光る一品といえるでしょう。
また私が最もおすすめしたいのが、秋~冬の間だけメニューに加わる“生かきそば”です。牡蠣(×5)の絶妙なレア加減。ぷっくりと火を通した牡蠣も捨てがたいですが、この「生」を想わせる滑るような舌触りと、ほんのりとした温かさを兼ね備えた牡蠣の旨みは圧巻。ミルキーさよりも、海の香りがストレートに出たおいしさで、その香り、エキスが、時間の経過とともにダシに浸透。すだちや三つ葉の爽やかさも手伝って、実に豊かな味の広がりを実感させてくれます。