いえいえ、そんなことはありません。
子どもが、大人も顔負けの演技で思わず拍手大喝采の「こども歌舞伎」をご紹介します。
歌舞伎の中心、中央区で伝統を守ろう
中央区は江戸歌舞伎発祥の地。明治時代には新たに新富座、歌舞伎座、明治座ができて、この界隈はますます歌舞伎文化が身近な街となりました。その頃は子どもたちが自然に歌舞伎文化に触れ合う環境にあったものの、今ではその伝統を子どもたちが受け継ぐ機会もありません。日本舞踊の師匠である諸河文子さんはそんな現状を残念に思い、新富町の子どもたちに歌舞伎の伝統文化を受け継いでほしいと考えて、2007年に「新富座こども歌舞伎」を立ち上げたそうです。
子どもたちと幅広い世代の街の人たちが、ともに江戸の芸能を楽しみ、受け継ぎ、伝えてほしいと願って始まった「新富座こども歌舞伎」。演じるのは中央区在住の小学生。現在は、2年生から5年生が中心となり、男女合わせて19名がお稽古に励んでいます。
三味線・唄・鳴り物を担当するのは、主に保護者と卒業生。近所のおじさんやおばさんたちも参加しています。プロの指導を受けながら、「こども歌舞伎」をしっかりと支える頼もしいサポート隊です。
毎年、2月の節分祭公演、5月に例大祭公演を鐵砲洲稲荷神社の神楽殿で行っています。その他に秋は大銀座会主催の泰明小学校公演や日本橋三越新春祭公演など、主に中央区のイベントに呼ばれて公演を行っています。
今回、5月5日に行われた「新富座こども歌舞伎例大祭奉納公演」を鑑賞してきました。
公園から神社までのお練りも本格的。(C)焼田健
「寿式三番叟」「白浪五人男」「義経千本桜」と本格的なプログラム
開始30分前には、それほど広くない境内は、もう人でいっぱいに。近所のおじさんおばさんやおじいちゃんおばあちゃん、近郊のリピーターも多数のよう。お互い顔見知りなのか、軽口をたたき合い、近くの屋台で買った団子などをつまみながら楽しそうに舞台が始まるのを今か今かと待っています。
中央区長からは「『新富座あってこそ、歌舞伎の黄金時代を迎えた』との文献の記述もあります。歌舞伎の中心という中央区の伝統を、ぜひ『新富座こども歌舞伎』を通じて守っていきましょう」と、地元愛にあふれたメッセージが読み上げられました。
口上に始まり、「寿式三番叟」「白浪五人男 稲瀬川勢揃の場」とプログラムは続き、幕間の楽しい「富くじ大会」のあとは「義経千本桜 吉野山」と演目もなかなか本格的です。聞けば、衣裳は当初「松竹衣裳」が作ってくれたとか。さすが地元ですね。
「寿式三番叟」は、おめでたい演目です。国が安らかに収まりますように、五穀がゆたかに実りますようにという祈りがこめられたもの。とんとんと舞台を踏み鳴らし、鈴打ち鳴らす子どものかわいらしさに観客の目じりも下がります。
鈴の音も軽やかに、かわいらしさもひとしお (c)焼田健
五人男の勢揃い!立派な晴れ姿です (c)焼田健
やんや、やんやの大喝采!
60番が当たりました~。
いい男っぷりで演じたのは、小学5年生の女の子
「ああ、これで日本の伝統芸能もまだまだイケル」と見ていてうれしくなる「こども歌舞伎」。ぜひ、今後とも活動を続け、貴重な伝統芸能をつたえていってほしいものですね。
「新富座こども歌舞伎」は、お稽古の見学も受け付けています(平成26年度は定員に達したため募集は終了しています)。
『稽古予定など』
◆ 演目/ 「三人吉三巴白浪」「白浪五人男」他
◆ 主な出演日/ 2月と5月の鉄砲洲稲荷神社での公演、他
◆稽古期間/ 6月~翌5月の期間で、日曜の午前中。
進行具合に応じて変更あり。
◆稽古場所/ 京橋プラザコミュニティールーム
◆指導者/ 藤川矢之輔、藤間文園、福原清彦
◆参加費/ 3,000円/月(12カ月)
◆持参するもの/稽古着(浴衣、帯、足袋)
※本番の衣装かつら等にかかる費用はありません。
■申し込み・お問い合わせ
「新富座こども歌舞伎」の会 諸河 文子さん
〒104-0041 東京都中央区新富1-17-10
E-mail : shintomiza@kk.email.ne.jp
電話 : 03-3551-2893
fax : 03-3551-2910