■愚痴だけにならないように注意する
「これだけ働いたのだから月収30万円は欲しい」
このような意見はよく聞かれます。しかし、これだけでは個人的な絶対評価に過ぎず、根拠や客観性に欠けます。自分の給与がいくらが妥当なのかを客観的なデータをもとに試算し、その積算根拠を示すことができれば説得力が増します。例えば、居宅介護支援費収入以外に地域の自治会などに出向いて行う介護保険の説明や、地域包括支援センターと協働して行う介護者教室の支援など、プライスレスな業務も訴えるべきです。
ケアマネージャーの資質向上と今後の在り方に関する検討会でも議論に出ましたが、「働きが悪いケアマネージャーがいる」と十把一絡げにされることがありますので、これについては、第三者による効果測定を導入しても良いと思います。ただし、ケアマネージャーは資格の更新など費用面での負担がありますので、これは、行政の対応としたいところです。ケアマネージャーの質が担保されれば、介護報酬を上げることの根拠に一つになり得ます。
私見
私も現役のケアマネージャーとして、介護保険制度の歪みや問題点を感じています。地域の同志と行政に意見書を提出したこともありました。介護も含めた福祉業界の低賃金や諸々の問題は決して他人ごとではなく、ケアマネージャーだけの問題ではありません。私たち従事者が、それぞれできることをもちより、より良い制度の改善を目指して、ソーシャルアクションを起こしていかなければならないでしょう。最後に、給与問題は単に行政機関や法人に文句を言っても解決できないくらい深刻です。制度の中心にまでメスを入れていかなければ改善は難しいでしょう。そうした精力的な活動を続けるとき、時に忘れがちなのは介護保険制度の対象者、つまり主役です。高齢者や障害者が主役であることをどんな時でも忘れないよう、自分自身も戒めていきたいと思います。