おとり広告に代表される違反広告は、ネットでなぜ増える?

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不動産広告には、業界団体で定めたルールがあります。それを「不動産の表示に関する公正競争規約」(表示規約)といいます。
こうしたルールが守られているかどうか、自主規制する団体のひとつが首都圏不動産公正取引協議会(不動産公取協)です。


不動産公取協は、表示規約に違反する疑いがある広告を調査し、広告主の不動産会社から事情を聞いたうえで、違反が認められた場合、「注意」や「警告」、「厳重警告」、「違約金課徴」といった措置を講じます。

悪質な違反への措置である「厳重警告」と「違約金課徴」の件数は、平成25年度で58件。インターネット広告によるものは、このうち52件で、実に89.7%を占めました。さらに、インターネット広告の中でも不動産ポータルサイト広告が43件と圧倒的に多くなっています。こうした悪質な違反におけるインターネット広告の占める割合は、年々増加する傾向にあります(図)。
悪質な広告のネット割合

【図】年度別の「厳重警告」「違約金課徴」事案に占めるインターネット広告の割合(平成17年度以降)

また、平成25年度の58件中43件が賃貸住宅の広告だったということから、インターネット広告で悪質な違反が多いのは賃貸であるということがうかがえます。

ではなぜ、インターネット広告で悪質な違反が増えているのでしょう?
インターネット広告の中でも、不動産ポータルサイトには、数多くの不動産広告が掲載されています。多くのユーザーがポータルサイトで物件を調べ、比較検討したうえで不動産会社に物件の問い合わせをします。

広告を出す不動産会社は、問い合わせを1件でも多く集めようと、相場より安いなど魅力的な物件を掲載しようと考えますが、そうした物件は多くはありませんし、仮にあったとしても広告掲載する前に成約してしまいます。そこで、既に成約した物件を長期間掲載したり、存在しない架空物件や賃料等の情報を改ざんした物件を掲載する「おとり広告」という手段をとるわけです。

このほかにも、実際に物件はあるものの、存在しない設備を表示したり、建築年月を新しく表示するなど虚偽の情報を掲載して、より魅力的な物件に見せる悪質な「不当表示」に該当する広告もあります。

おとり広告や不当表示とは、どんなもの?

おとり広告には、表示した内容と同一性が認められる物件が存在しないなどのいわゆる「架空物件」や物件自体はあるものの契約済みや入居中などの理由で「募集をしていない物件」などが該当します。

このようなおとり広告に問い合わせをしてきた検討客に対しては店舗への来訪を促し、実はこの物件には大きな難点(この難点が事実であるケースは滅多にありません)があるなどと伝えて別の物件を勧めたり、直前に成約したから案内できないなどと言って別の物件を勧めたりするわけです。

一方、不当表示には、価格や賃料などを「安く見せるもの」、物件の内容を「よく見せるもの」などが典型例です。
例えば、契約後一定期間のみ賃料が安くなる賃料だけを記載して、本来の賃料を記載していなかったり、実際には仲介手数料がかかる仲介物件であるのに、取引態様が「仲介」であると記載していなかったり、保証料や保険料、鍵交換費用などが必要であるのに記載していなかったりといった事例が、価格や賃料などを安く見せるケースです。

また、最寄り駅からの徒歩分数を短く表示したり、存在しない設備を表示していたり、間取りを改ざんしたり、実際とは違う内装や外観の写真を掲載するなどの事例が、物件の内容をよく見せるケースです。
ほかにも、実際は土地を販売しているのに、勝手に新築一戸建てとして広告するなど悪質な事例も見られます。

しかし、大半の不動産会社は、表示規約などのルールを守っています。不動産公取協によると、不動産公取協の管轄エリアである関東甲信越(1都9県)には約5万3000社の不動産会社がありますが、そのうちの58社が違約金課徴の措置を受けたということなので、その割合は0.1%にしかすぎません。悪質な表示を行っているのは1%にも満たないということです。

>>次ページからは、悪質な違反広告に対する防衛策について見ていきましょう。