1人ぼっちだった女の子を救った猫のプシュケ

人と話すことが苦手で、学校もつまらなかった1人の女の子。暖かな日の浜辺で出会った1匹の黒猫のプシュケが、女の子の毎日を変えていきます。毎日毎日たくさんふれ合って、一緒に遊びながら成長していったプシュケと女の子。そして、元気を取り戻して友達が増えていった女の子には、プシュケが想像もしなかった変化が生まれていきます。いつの間にか女の子に恋をしてしまっていた猫のプシュケ。プシュケの思いは女の子に届くのでしょうか?


 


命の長さも恋する気持ちも、みんな違う……

猫と暮らしたことがない人は、猫は犬のように人間の感情を読み取ることはできない、こちらの言うことを理解できないと思う人が多いようですが、そんなことはありません。我が家の15年以上一緒に暮らしている猫は、名前を呼べば返事をして寄ってきます。家族が言い争いをしていると、その間にちょこんと座って「早く仲直りして」とでも言いたげに、目をつむります。遊んでほしいので本人はじゃれるつもりで突然足にパクッとかみついて、叱られることも。赤ちゃんが生まれて家族が増えると、少しさびしそうな様子を見せて、身体をこすりつけてきて甘えてきたものです。毎日1回は抱き上げてゆっくり背中を撫でると、「ありがとう」という表情で手をペロペロなめてきます。人と猫の間には、感情が通い合っています。

プシュケは全面的に信頼していた女の子が、自分よりも他の存在へ大きな愛情を寄せるようになったことを知り、毎晩泣きました。お月様が言った「命の長さも恋する気持ちも、きみと女の子では違う」という言葉の通り、それはいつかはやってくる運命だったのです。

人間と猫のお話ではありますが、それだけにとどまらない「愛」について考えさせてくれる物語だと思います。


気づくのが遅かった、プシュケの自分への思い

女の子よりも何倍も早く年老いたプシュケが永遠の眠りのついた夜、お月様は女の子に、プシュケと女の子が初めて浜辺で会った日の夢を見せました。ようやくプシュケの思いに気づいた女の子ですが、もう、プシュケを抱きしめることはできませんでした。それでもプシュケは、女の子に出会えて幸せだったかもしれません。でも、女の子がもう少し早く、プシュケの気持ちに気づけたら……。人の心を知ったプシュケが、毎日涙を流さずにすんだでしょう。

当たり前のように近くにいてくれる大切な存在と心をきちんと交わすことは、相手が言葉の通じる人間でも、簡単なことではありません。子どもから大人まで、大好きで大切な存在がいるすべての人におすすめしたい、珠玉の愛の物語です。

そして、猫と一緒に暮らしている方、これから猫と暮らす予定がある方にはぜひ、読んでいただきたいです。どうか、猫の小さな心の中に育っていくあなたへの憧れの心に気づいて、長く大切にしてあげてくださいね。


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