インフレになると実質的な支給額は減る
国民年金基金には、もちろんデメリットもあります。民間の個人年金保険にもいえることですが、将来受け取る年金額は物価上昇が加味されないため、インフレが続くと支給額の実質的な価値が下がってしまう「インフレリスク」があります。加入時には10万円あればいいと思っていたのに、経済情勢によっては、10万円では足りない、となることも考えられます。
この点では、投資信託の積立購入や、個人版確定拠出年金(401k)で投資信託を選択する、というほうがインフレへの対抗力がありそうです(ただし価格変動リスクがあります)。
脱退・解約しても一時金は受け取れない
また、就職して第一号被保険者でなくなった場合や、国民年金保険料が免除されたとき(障害基礎年金を受給するなどの法定免除の場合を除く)には加入資格喪失となり、脱退することになります。脱退した場合は、将来、掛金を納めた期間に応じた年金が支給されることになり、脱退した時点で一時金の支給を受けることはできません。「老後のために加入したけれど、解約して当座の生活資金や事業資金に転用したい」といった使い方はできない、というわけです。
老後資金を確保することも重要ですが、現実問題として、自営業者やフリーランスでは当座の資金が必要になることもあります。国民年金基金は無理のない範囲で加入し、換金性の高い貯蓄や投資信託などと並行して老後資金を準備する、などの方法をとることも必要でしょう。
もうひとつ認識しておきたいのは、2014年4月に掛金が引き上げられたことです。ただし、新しい掛金が適用されるのは、同4月以降の加入、また加入口数を増やす場合で、それ以前に加入した人の掛金は改定前のまま。つまり、加入時期によって有利さに差がある、ということになります。