前回の記事では、切手カタログの種類について解説しました。今回は実際の切手の取引価格がどのように決まるのかについて説明していきます。切手の値段を決めるには様々な要素が絡み合うので、今までになく難しい記事に感じられるかもしれません。その場合はまず全体を流し読みをした上で、必要そうな部分だけ精読するようにしてください。

カタログ評価22万円の切手!

「冠」の未使用

「裕仁立太子礼10銭」(1916年)(参考価格10-12万円)

ここでは、「裕仁立太子礼10銭」(1916)を例にとってみたいと思います。のちに昭和天皇となる裕仁が、明治天皇の誕生日だった11月3日に、皇太子に就く儀式を行ったのを記念したもので、通称「冠(かんむり)」と呼ばれます。発行枚数はわずか86,000枚。日本で最も高価な記念切手であり、いつかは入手したいあこがれの切手とされます。

さくら日本切手カタログ』での評価は、未使用極美品22万円、未使用普通品18万円、使用済7.5万円です。切手商組合の『日本切手カタログ』では、未使用極美品が実に25万円の評価となっています。「月に雁」の未使用極美品が2.5万円(さくら評価)、「見返り美人」で1.8万円(さくら評価)ですから、いかに高い切手かお分かりになると思います。
さくら日本切手カタログ

さくら切手カタログ2015年版の表紙。

切手の値段を決める上で最も大切なのは、カタログ評価の基本的な考え方です。カタログに記載されている評価額は取引きの目安であって、カタログ評価額で取引きしなければならないといった決まりはありません。切手の状態が非常に良好なもののみが、カタログ評価の100%に近い水準で評価されますが、多くの場合は4割引き、6割引き、場合によっては9割引きといった具合に引き下げられて、実際の売り買いが行われます。

記念切手の王様とされる「冠」がどのような値踏みをされて、実際に取引きされているのでしょうか。次のページで見ていきたいと思います。