ターゲットの違い
30代の大人層というのは、いわゆるファミコン世代です。
ポケモンももちろん子供向けで、概ね小学生までがメインターゲットです。しかし、ポケモンにはもう1つ大きなターゲットがあって、20代後半から30代の大人層です。
ソフトの販売推移を考えてみると、かなり大人のユーザーがいることが浮かび上がってきます。多くのゲームは、発売日直後に販売が集中し、1か月を過ぎた後は、あまり販売が伸びることがありません。しかし、子ども向けのタイトルはこれが通用しません。子どもたちは自由にゲームを買えるほどお金を持っていない場合が多いですから、誕生日とか、クリスマスとか、そういう機会に買ってもらいます。ですから、子ども向けのゲームというのは発売日直後への偏りはそこまで大きくなく、ゆっくりと時間をかけて伸びていく傾向があります。
ポケモンはどうかというと、ポケットモンスターX・Yを例にとってみると、発売初週に約200万本を売り上げています。とんでもない数ですね。この200万本にはかなり大人層が含まれていることが想像できます。大人層を中心にまず200万本がドカンと売れて、さらに200万本とか、300万本とかいう数が子ども層へ向けてジワジワと出ていくというのがポケモンの売れ方の特徴です。
ゲームの複雑さ
子どもが喜びそうな仕掛けがふんだんに取り入れられています
ポケモンというゲームは、クリアをするところまではわりと簡単で、それなりにゲームをする人であれば誰でもすんなり遊べるRPGです。しかし、クリア後、対戦で勝つために自分の最強ポケモンチームを育てようとすると、様相がガラッと変わります。
膨大な知識と時間を必要とする育成、そして複雑な駆け引きが勝敗を分ける対戦。この領域に踏み込むと、大人のゲーマーでもおいそれとは攻略しつくせない複雑なゲーム性が顔を覗かせます。多くの人がクリアまで遊べる間口の広さと、ゲーマーも簡単には最深部まで潜りきれない対戦の奥深さを両立しているのが、ポケモンというゲームが広い層を獲得している大きな要因の1つでもあります。
妖怪ウォッチのバトルは自働で妖怪達が攻撃してくれて、アイテムや必殺技を使う時など、限定的にプレイヤーが干渉する半オート。対戦や育成の要素もありますが、ポケモンほどの複雑さは持ち合わせていません。
もっとも、それが悪いというわけではなく、前述しているようにより小さな子どもが遊ぶことを想定して、シンプルで遊びやすい設計にしてあるということなんですね。必殺技を放つ時は、タッチペンで画面をグルグルと回したりと、楽しいギミックも搭載。子どもたちが必死になって「うおおおおお」と画面をグルグルやるわけです。
簡単かつ、楽しく、複雑になりすぎない要所要所でプレイヤーの判断を必要とするバトルシステムは非常によくできていますし、ターゲットをしっかりと想定して作り込んである印象です。だからこそ、ポケモンとは違う、ということですね。
というわけで、似ているところがあるからと言って、簡単に第二のポケモンになるかといえば、なかなか難しいかもしれません。じゃあ、妖怪ウォッチってたいしたこと無いのか、というともちろんそんなことはありません。最後は、妖怪ウォッチの今後について、少しお話して終わりたいと思います。