レインボーに彩られた「GAP」原宿店の輝き
仕事が忙しいなか、「LGBTが前向きに生きられるよう、何とかこの社会を変えていきたい」と願うゲイリーマンたちは、たとえば、パレードなどイベントのボランティアに携わったり(毎年何百名もの方が参加しています)、グッドエイジングエールズなどの団体の活動に携わったり、というカタチでがんばってきました。外資系の企業などでは、社内にダイバーシティ委員会があって、女性などだけでなくLGBTについても取組んでいるところがいくつもあります(そういうところに参加し、発言しているゲイの方もいます)。LGBTの学生向けに就職説明会を催したり(その先鞭をつけたのが、実はリーマンブラザースでした。そういう意味でも、残念です)、本国と同様にドメスティックパートナー制度(社員の同性パートナーも、男女で結婚した社員の配偶者と同様に扱う)を取り入れたりということが始まっています。
そんななか、今年のGW、ひときわ輝きを見せていたのが、GAPです。原宿駅前にあるGAP原宿フラッグシップ店は、4月22日から5月12日まで、ファサードロゴ(店頭の巨大看板)を6色のレインボーカラーでデザインされた世界でたった一つの特別なロゴ仕様に変え、店内に入ってすぐの吹き抜けエントランス部分には巨大なレインボーのナイアガラインスタレーションが施され、TRWブースを設けてパンフを配布し、ということをやってくれました。
Webサイト上では「1969年、サンフランシスコでブランドが誕生してからずっと、Gapはカスタマー、そしてエンプロイーの個性と多様性を尊重してきました。カスタマーに対しても、エンプロイーに対しても、公正さ、尊厳、そして敬意を持って接することは、ブランドのコアバリューのひとつです。2014年、Gapは「セクシュアル・マイノリティ(性的少数者、LGBT)の人たちが、より自分らしく、前向きに暮らしていくことのできる社会を、みんなで応援し、サポートとしよう」という「東京レインボーウィーク2014」の趣旨に賛同し、応援します」と宣言されました。同じ文言が、店頭で配布されたパンフレットにも書かれていました。
そういうパンフを、原宿にお買い物に来た一般の方たちが持ち帰り、また、パレード帰りの方なども大勢お店に立ち寄って買い物したり、レジで「素敵な試みをしてくれてありがとう」と伝えたら、「こちらこそお越しくださってありがとうございます」と返してくれたり、そういう声がTwitter上にあふれたり、本当に大きな反響がありました。(ゴトウもささやかながら、お買い物させていただきました。きっと、キャンペーン期間中、売上げもアップしたんじゃないかと思います)
今回、このレインボーな企画を実現するために、原宿店の100名ほどのスタッフの方のほとんど(約9割)がストレートの方だったため、セクシュアルマイノリティに関する基礎知識から、参加する意義、当事者カスタマーへの対応まで修得できるような特別なトレーニングが行われたそうです。
こうした動きは、突発的に起こったものではなく、社内にゲイの方がいて(実は以前からイベントでお会いしていて、今回のキャンペーンでGAPで働いていることを知りました)、会社に働きかけを行い(運よく、そういう取組みに適した部署にいたそうです)、もともとGAPが本国ではゲイフレンドリーだった(アメリカのLGBT団体が作成している「企業平等度指数」において連続で100点満点を取得しているそうです)ことも幸いして、今回のキャンペーンが実現したそうです。
この原宿店のレインボーキャンペーンによって、お客さんの入りが一気に増えたそうで、お店の方たちもにわかにセクシュアルマイノリティのお客さんを意識するようになったとか。彼は(イベントで踊ってるときとは違う真剣な表情で)「今後もこういうことを広げていきたい」と語っていました。
たぶん、彼のような人は、あまり知られていないだけで、これまでにもたくさんいたんだと思います。表には出ないけど、勇気をもって社内で働きかけを行い、時代を一歩前に進め、世界を少しだけ善い方向に動かした人たち。そんなタイガーマスクみたいな無名のヒーローたちに、あらためて感謝を表したい気持ちです。