NHKで出来ること、出来ないこと
というわけで、4月からレギュラー放送が始まった「LIFE」。正直にいうと、コントによってはどこかギクシャクした感があります。というのも、民放のコントでは普通に使えるギャグを、NHKでは扱いにくい点があるようです。例えば、志村けんの代表的作品「バカ殿様」や松本人志が演じた「アホアホマン」は、NHKではまずやれないでしょう。そんな中で個人的に期待しているのは、誰もがご存知の人気シリーズを作ることでした。過去の名作バラエティーには、人気コントのシリーズが必ずあり、あの「サラリーマンNEO」からも、沢村一樹演じる「セクスィー部長」という評判のシリーズが生まれ、これがあったことが番組自体の長期化を進めたように思います。
「LIFE」に話を戻すと、塚地武雅演じるイカ大王さまは、キャラとしてイイ線いってるものの、コントとしてはもう一押し欲しいところでした。そんなモヤモヤした思いを吹っ切ってくれたのが、「NHKなんで」の名台詞で、早くもネットで話題になっているゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・ディレクター三津谷寛治です。
笑激の名フレーズ「NHKなんで」
演じているのは番組を率いる内村光良。民放的なトークバラエティー制作の現場に突然現れて「NHKにおもしろはいりません」と言い放ち、次々と堅苦しい演出を指示し、ひな壇の芸人達を戸惑わせるという異色コントでした。某国会議員が議会で「NHKのバラエティーが低俗だ」と言い出したことに対して、コントで見事にアンサーしたことが話題になっていますが、それ抜きで見ても絶対に民放では作れない不思議な味わいに満ちた作品になっています。三津谷Dの登場は、昨年末の「紅白スペシャル」に続いて二度目ですが、ネットでの盛り上がりを受けて今後も定期的に発表して欲しいものです。
番組はレギュラー化して2ヶ月足らずにもかかわらず、他にも個性的なキャラクターが続々登場しています。NHKで番組を作る最大のメリットは、目先の視聴率に左右されず一定期間、オンエアを続けられることでしょう。だからこそ、「LIFE」には知恵と時間を掛けて、クオリティの高いコント作りを目指してほしいのです。様々な制約にひるむことなく。