テクノポップ/海外のテクノポップ

東ドイツ博物館に行こう!(ドレスデン編)(2ページ目)

音楽ガイドと旅行ガイドの融合を目指し、共産テクノ連載を続けます。ベルリンに続き、共産テクノの調査のために訪れたドレスデン。その近郊の東ドイツ博物館も紹介!共産テクノアイドルとマレットヘア(リマールのような髪型)から読み取る東ドイツです。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

統一後も活躍するInka

フルネームは、インカ・バウゼ(Inka Bause)。1968年にライプツィヒに生まれ、後にベルリンで育ちました。お父さんであるアーント・バウゼ(Arndt Bause)は、東ドイツでは有名な流行歌の作曲家。

dingsbumshausen

In Dingsbumshausen Ist Was Los

1985年にはお父さんは、『In Dingsbumshausen Ist Was Los (ディングスバムシャウゼンで何が起こっているの)』というソロ・アルバムもリリースしています。子供向けに作られた作品。

In Dingsbumshausen Ist Was Los (YouTube)

 

inka

Inka

音楽的才能を磨くのには恵まれたインカちゃん、ベルリンの壁が崩壊する前、1987年にアルバム『Inka』でデビューを果たします。もちろんリリース元は、東ドイツ唯一のレーベルであるAmigaです。ほとんどの曲とアレンジは、お父さん。「Ist Das Liebe(愛がある)」はクリップが作られていますが、ちょっとイタロディスコ寄りのテクノ歌謡って感じ。さしずめ、東ドイツのカイリー・ミノーグ。一緒に演奏しているギタリストのリマールのような髪型に時代を感じます。

Ist Das Liebe (YouTube)

インカちゃんは、90年代に歌手としてはブランクがあったようですが、現在も歌手、テレビ司会者、女優として活躍しています。現在のドイツのメルケル首相はハンブルグ(西ドイツ)生まれですが、東ドイツで育った人です。多くの東ドイツのブランドが西ドイツに駆逐されたことを考えると、メルケル首相にしても、インカちゃんにしても、大きな時代の節目を乗り越えたサバイバル能力に長けた人たちなんだと妙に感心してしまいました。

マレットヘアのIC (Falkenberg)

traumarchiv

Traumarchiv

先ほど、リマールのような髪型と言いましたが、もろにその髪型をしていた人がいます。その名は、IC、後にIC Falkenberg、本名Ralf Schmidtです。これは、マレットヘアと専門用語(?)で呼ばれ、フレネシちゃんがとっても親切に解説してくれているので、ぜひ読んでください。イギリスあたりが発祥のマレットヘアが、80年代後半ともなると東ドイツでも熱狂的に流行っていたんでしょうか?

 

【保存版】80sがリバイバルしてもスルーされ続ける「マレットヘア」図鑑

Stern Meissen(陶器で有名なマイセンからやって来たスター)というバンドのフロントマンを勤めていたIC君は、エレクトロポップに傾倒し始めます。ちなみにICとは、Internal Circuitというテクノなネーミング! そんな彼が1987年に見事なマレットヘアをジャケに放ったアルバムが、『Traumarchiv (アーカイヴ・ドリーム)』。東ドイツでは、20万枚を超える大ヒット作となりました。「Mann im Mond (月の男)」に登場するマレットヘアのIC君を存分にお楽しみください。

Mann im Mond (YouTube)

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