政権交代以降、我が国の景気は緩やかに回復しつつあります。
景気の回復を受け、民間の住宅建設や公共投資についても堅調に推移していますが、建設需要の高まりは建築費の上昇を引き起こし、賃貸住宅経営に大きな影響を及ぼしています。

東京都における建築費の動向

近年上昇を続けていた建築費ですが、昨年に入ってからは更に上昇傾向を強めています。
一般財団法人建設物価調査会の調査によれば、東京における集合住宅の構造別の建築費について、RC(鉄筋コンクリート)構造では1月の103.8から12月には110.3となり6.5の上昇を示しました。
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)構造、S(鉄骨)構造についても同じような動きを示しており、建築費は構造を問わず全般的に上昇しています。
上昇を続ける建築費

平成25年東京の建築費指数の推移


建築費上昇の様々な要因

日本経済の低迷を背景に建設業の就業者数は、ここ10年間以上減少傾向が続いており、東日本大震災の復興工事が本格的に始動した際には、既に型枠工等の職人不足が問題となっていました。
昨年は、更にアベノミクスを背景とした景気回復による全体的な建設需要の上昇、消費税増税前の駆け込み需要が重なったことで、建設業界では需要に対して供給が追い付かない状態となりました。
職人不足が賃金の高騰を引き起こしたことで、労務費の上昇は建築費を大きく上昇させる結果となったのです。

また、円安に起因する建築資材の輸入価格の高騰も大きな要因となっています。当然ながら、円安が進めば輸入価格が高騰することになりますが、昨年はアベノミクスの影響を受け、僅か1年で10円以上円安が進行しています。
資源の少ない我が国では、資材についても海外からの輸入に頼る部分が大きく、円安も建築費を押し上げる大きな要因となっています。
減少が続く建築業就業者数

建築業就業者数の推移


建築費は今後高止まりする可能性も

建築費については経済状況に大きく左右されることになりますが、今後の経済動向については、消費税増税の反動による景気の後退という懸念があります。
しかし、その一方で、東京オリンピック開催に向けてのインフラ整備などのプラス材料や、アベノミクスによる実体経済の本格的な回復も期待されており、消費税増税の反動を跳ね返すほどの強い回復を見せるようであれば、インフレの進行も相まって、建築費は高止まりする可能性が高いと考えられます。

建築費は賃貸住宅経営の事業収支に大きな影響を及ぼします。今後、賃貸住宅を建設したりリノベーションを施したりする場合には施工のタイミングが大変重要であり、経済動向を慎重に見極める必要があります。

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