役の関係性やキャラクターがそのまま表れている幸福な稽古場
――マイケルは積極的に何か事を起こしていくというより、周囲の人間たちを見つめ、協調しながらそこに存在している人物という印象があります。浦井さんご自身は今回のお稽古場でどんな立ち位置ですか?
浦井
例えば勉強会の時に、森さんとコステロ役の内野聖陽さん、翻訳の小田島先生と森さん……色々な組み合わせで時に何時間もディスカッションが続いたりしたんです。と、そこでフランク役の小林勝也さんがまるで生き字引きのように1960年代や70年代の日本や世界の話を体験者として語って下さる。僕はそれを皆の側で一生懸命聞いている。その感じがとてもマイケルの佇まいに近いと思いました。またそこでたまにチャチャを入れて場を和やかにするのがルエリ役の成河君だったり。役の関係性やキャラクターがそのまま表れている稽古場ですね。
浦井
そうですよね。今回の稽古が始まった頃はふざけて「お、ミュージカルの兄ちゃんが来たな。」なんて愛のあるイジられ方もしたんですが(笑)、段々現場が深まっていくにつれ、マイケルのキャラクターについて色々話して下さったり、問題提起をして下さったりして、その状態がコステロとマイケルの師弟のような関係にも繋がっているように思います。内野さんと色々な話を積み重ねていく事によって、2人が同じ世界を見られるようになっていると感じていますし、『エリザベート』でご一緒させて頂いた頃から時が経ち、『ビッグ・フェラー』ではちゃんと一緒にお芝居を作っているという大きな充実感もありますね。
――ミュージカル、ストレートプレイ、テレビ番組へのご出演、そしてStarSとしての活動と、本当に様々なジャンルでご活躍の浦井さんですが、今後演じてみたい役や参加したい作品はありますか?
浦井
本当にありがたいです。これまで経験させて頂いた仕事はどれもが繋がっていて、1つの現場で頑張り、勉強させて頂いた事がまた次の作品に繋がる……「浦井にこれをやらせたら面白いんじゃないか。」と思って下さった方が更に違う作品に関わるチャンスを下さる……これまでそんな風にご縁が繋がって来たと思うんです。だから自分から「これをやりたい!」って強く口にするよりも、常に「浦井にこれをやらせてみたい。」と思って頂けるような存在……そういうフレッシュさを持った役者でありたいと考えています。勿論、胸に秘めている願いもあるんですが、ここは敢えて秘密にさせて下さい(笑顔)。
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