色が躍る！言葉がはずむ！雨の絵本『ぴっつんつん』

ねえ、雨ってこんなに楽しかった？

朝起きて窓を打つ雨の音を聞いただけで気分が滅入ってくる……そんな方はいらっしゃいませんか？ 雨が降ると子どもたちは家の中で騒ぎ、洗濯物は溜まっていくばかり。それはもう、ため息が出るのもうなずけます。

そんな時にはちょっと一息ついて、お子さんと一緒にこんな絵本を開いてみてはいかがでしょう。雨が降るとなぜか楽しくて仕方なかった、幼い頃のあの気持ちが蘇ってくる作品『ぴっつんつん』をご紹介します。もちろん、雨大好きなお子さんには何を置いてもおすすめしたい絵本です。

軽やかな音楽が聞こえてきそうな絵本『ぴっつんつん』

赤い傘をさし赤いコートを着た子どもが雨の中を歩いています。すると、1人、また1人と子どもたちが集まってきました。みんなカラフルな傘を持ち、同じ色のコートに身を包んでいます。「つんつん ぴっつん、ぴっつんつん」軽やかな雨音に合わせて、子どもたちはニコニコと動き回り、水たまりだってものともせずバシャバシャと進んでいきます。

歌うように、踊るように、雨を楽しむ子どもたち。やがて黒い傘に黒いコートをまとった子どもが登場すると、画面に小さな緊張が生まれます。その子は仲間外れにされるの？ いいえ、心配はいりません。黒いコートを着た子と共にとびきり楽しい雨の中の遊びが始まって、子どもたちの気分は最高潮に達します。 そして次の雨が待ち遠しくなるような終わり方……う～ん、最後まで洒落ています！

雨の絵本なのに、読後は心が晴れ晴れとしてくるのはどうしてでしょう？ その秘密は、シンプルながらも、心が弾むような鮮やかな色使いの絵、また読んでいる私たちまで踊りだしたくなるほどのリズミカルな言葉にあるのではないでしょうか。

詩人でもある武鹿悦子さんが生み出した「ぴっつんつん」という雨音の響きが、雨の日の憂うつな気分を本当に忘れさせてくれます。「さっきまであれほど雨が嫌だったのに、今は雨が楽しく感じる」そんな不思議な感覚を味わっていただける、とってもチャーミングな絵本です。


【書籍DATA】
武鹿悦子：文　もろ かおり：絵　後路好章：構成
価格：1296円
出版社：くもん出版
推奨年齢：4歳くらいから
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