3度目のバランス型ファンドブーム
バランス型ファンドが多数設定された
簡単にバランス型ファンドブームを振り返ってみましょう。1度目は1998年12月から始まった銀行での投資信託販売解禁時です。今では当たり前となっている銀行での投資信託販売ですが、本格的に解禁されたのは1998年12月ですから、今年でやっと16年に過ぎないのです。当時のバランス型ファンドは、国内外の株式や債券に分散投資されるタイプが主流でした。
2度目は2007年前後でしょう。国際分散投資という資産運用の基本が知れわたり、やや行き過ぎた、言い換えれば国際分散投資を行っていれば安心という過剰な期待を投資家に抱かせてしまいました。株式や債券だけではなく、リート(不動産投資信託)やコモディティ(商品)といった資産にも分散投資するタイプが主流となりました。
3度目の2013年は、NISA(少額投資非課税制度)を見据えて、アセットアロケーションの見直しを柔軟に行うタイプが主流となっています。NISAでは投資家自身でリバランスができないことから、ファンド自身が投資家に変わってリバランスを柔軟に行うという仕組みのファンドが大量設定されたのです。
インカムの積み上げで期待収益の大部分を賄う
3度目のバランス型ファンドブームで新規設定された個々の投資信託の運用履歴が短いことから、現時点で優劣を付けることはできませんが、特徴のあるバランス型ファンドとして注目したいのがシュローダー・インベストメント・マネジメントが運用する「シュローダー・インカムアセット・アロケーション(毎月決算型/1年決算型)」です。同ファンドに注目するのは「インカムアセット(同社の造語)」に着目して収益を積み上げていく投資スタイルです。インカムゲインに注目する投資信託では、好配当株や高利回り社債など単一の資産クラスでインカムに注目するファンドはありましたが、複数、正確には全資産クラスのインカムゲインに注目するタイプは初めてと思われます。
ちなみに同社が言う「インカムアセット」とは、世界の債券や高配当株式などのインカムを生み出す資産のことを指しています。実質的な主な投資先は、債券では投資適格債、ハイイールド債、新興国債券。株式は先進国高配当株式、新興国高配当株式。その他では、リート(不動産投資信託)、MBS(不動産担保証券)、インフラ関連資産などとなっています。
運用のポイントは……
1.債券や株式などの価格変動(キャピタルゲインやロス)は、運用成果のブレを大きくしますが、インカムゲインは保有期間とともに安定的に積み上げることが期待できることから、運用成果の下支え効果が期待できます。
2.安定的な運用成果を目指すため、景気の拡張局面では高配当株式の資産配分を増やす反面、景気後退局面では債券の組み入れ比率を引き上げるなど、市場環境に合わせて柔軟に資産配分を変更します。さらに、主役の資産クラスは毎年のように変化するため、状況に応じて資産クラスの配分も変更していきます。また、単一資産への投資では利回りを追求するあまり、気づかない間に想定以上のリスクを取っている場合がありえます。
シュローダー・インカムアセット・アロケーション(毎月決算型/1年決算型)では、複数のインカム資産への分散投資を行うことで、リスクを抑えながら魅力的な利回りの獲得を目指しています。運用ポートフォリオが目指す利回り(インカム)は5%、ファンドの期待収益を7%としていることから、収益の大部分はインカムを積み上げていく投資スタイルになっています。
資産形成においては、複利効果を活用することが大切になります。複利効果を得るためには、ポートフォリオの振れ幅を抑えることがカギとなることから、利回り・インカムを重視した安定したトータル・リターン(運用成果)を追求するシュローダー・インカムアセット・アロケーション(毎月決算型/1年決算型)が注目を浴びることでしょう。
なお、同ファンドには毎月決算型と1年決算型が用意されているとこから、定期的に収益を得るキャッシュフローを重視する投資家は毎月決算型を、資産形成層は1年決算型を選ばれるとよいでしょう。為替ヘッジあり、為替ヘッジなしも用意されています。今後の運用に注目したいバランス型ファンドの登場といえます。