Good Bye DDR
前置きが長くなりましたが、ここらで音楽の話をしましょう。同時にこういった文化的背景というのは結構重要だと考えていますので、東ドイツ文化については次回以降に預けます。東ドイツのテクノポップの調査をするにあたり、最初に東ドイツのロック・ポップ(Ost Rock)を集めたコンピレーションを聴いてみました。71トラックの中のほとんどは、どちらかと言えばドイツの歌謡曲にあたるシュラガー(Schlager=ヒット曲)やオールドウェイヴ的な曲が多数派でしたが、中には時代の波に乗っている(少なくとも乗ろうとした)曲もありました。オールドウェイヴでも、好きな曲もありました。1984年だけど、70年代ウェストコーストっぽいEnnoの曲とか。Good Bye DDR (last.fm)
In der letzten Stunde des Tages (YouTube)
若かりしニナ・ハーゲン
その中によく知っている名前が! テクノポップというよりパンク・ニューウェイヴの文脈ですが、パンクの母とも呼ばれるニナ・ハーゲン (Nina Hagen)です。ニナは1955年に東ベルリンに生まれ、1976年に西側(最初はイギリス)に亡命しました。しかし、彼女は東ドイツ時代、1974年にNina Hagen & Automobilという名義で「Du hast den Farbfilm vergessen(カラーフィルムを忘れたのね)」という曲をシングル、アルバム共にリリースしています。だみ声とも言える個性的な声はそのままですが、若かりしニナは清純なルックス。その後のニナのイメージのバイアスがかかっていますが、歌謡曲的でありつつも面白い曲です。Nina Hagen - Du hast den farbfilm Vergessen (YouTube)
東ドイツで一番売れたアルバム
もう一つ、コンピ収録バンドとして紹介したいのが、東ドイツを代表するKaratという東ベルリンで結成されたロックバンド。1975年に結成された外見的にもオールドウェイヴな風情のバンドですが、彼らの1982年のアルバム『Der blaue Planet(青い惑星)』は、最も売れた東ドイツ出身アーティストによるアルバムで、西ドイツでも売れました。全曲という訳ではありませんが、「Marionetten」などの曲にはニューウェイヴの影響が伺えます。Karatはオスタルギー的に東西ドイツ統一後も評価され、現在も活動をしています。Der blaue Planet (amazon.co.jp)
Marionetten (YouTube)
では、次回は、東ドイツ博物館と共に、一般的にはあまり知られていない東ドイツのアーティストを紹介します。
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