日本ダービーへの出走が見えてきた!
競走馬にとっての最大目標であり、夢舞台と言えるのが、6月1日に行われる日本ダービー(東京・芝2400m)。毎年約7000頭生まれるサラブレッドの中で、ダービーに出られるのは18頭まで。勝つのはもちろん、出走するのも大変な舞台といえます。その日本ダービーへの出走を賭けて、シャドウダンサーが5月10日(土)に登場します。同馬にとってデビューから4戦目となるレースは、G2京都新聞杯(京都・芝2200m)。この結果次第では、夢舞台への出走が叶います。
さっそく京都新聞杯の展望をしたいのですが、まずは3月16日に行われたシャドウダンサーの前走を振り返りましょう。ケガで4ヶ月の休養を挟んだシャドウダンサーは、このレースで見事に白星を飾り、今回の京都新聞杯へと駒を進めてきたのです。
中山競馬場に姿を現したシャドウダンサー
11月に出走したデビュー2戦目(黄菊賞)で2着と好走した後、捻挫で戦線を離脱することになったシャドウダンサー。それから約4ヶ月後、シャドウダンサーは3月16日に行われた「3歳500万下(中山・芝2000m)」というレースに出走します。6月1日のダービーに出るには、このレースを勝ち、次走でダービーの出走権を手にしたいところ。スケジュール的には、もう負けが許されないがけっぷちの状況です。
私はもちろん応援に行きました。今までは関西の競馬場で走っていたシャドウダンサーですが、この日のレースは千葉県の中山競馬場。レース前のシャドウダンサーを間近で見たときは、思わず顔が火照ってしまったものです。
シャドウダンサーは現在、500万下というクラスに属しており、ダービーに出るには、まず最上級のオープンに上がる必要があります。今回のレースを勝てばそれが叶うわけで、前走で戦ったメンバーのその後の活躍を見れば、ここは十分突破できるはず。
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【オープン】※ダービーなどのG1は「オープン」クラスのレースです
【500万下】 ←シャドウダンサーは今ココ!
【未出走・未勝利】
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この見方は決して私のひいき目ではなく、他のファンも同様の考えでした。実際、レース前のシャドウダンサーは断然の1番人気(1.9倍)。私もシャドウダンサーの単勝(1着を当てる馬券)を意気込んで買いましたが、この人気ぶりでは、当たっても大した額にはなりません……
しかし、馬券なんてどうでもいいのです。シャドウダンサーが勝ってくれれば。間違いなく実力は上なのですから。
そんな思いでスタートを待っていた私ですが、一方で大きな不安もありました。
「渋滞」の不安が現実になった運命の3戦目
今回のレースに参加するのは14頭。その14頭がスタートする際の並び順(枠順)は抽選で決められます。シャドウダンサーの枠順は、内から2番目(2番枠)。これは大きな懸念材料でした。なぜなら、レースで渋滞に巻き込まれる可能性があるからです。たとえばゴールデンウィークの高速道路。渋滞に巻き込まれた人も多かったと思います。そんな時、車線を変えようとしても横にぎっしり車が並んでいて動けない……なんてケースはなかったでしょうか。
実はあの光景、たびたび競馬でも起こります。レースの勝負どころで仕掛けようと思っても、自分の周りをぎっしり他馬が囲んで動けなくなる状況。こうなると全力で走れませんから、いわば力を出し切れぬままゴールを迎えます。競馬ではこれを「脚を余す」と言います。
このケースが特に起きやすいのが、内枠スタートの人気馬。外の馬にピッタリ併走され、前にも馬の壁ができるともう動けません。もちろん周りの騎手も、人気馬が内側にいるとなれば、そう簡単には外に出してくれませんから、渋滞は起きやすくなります。特にペースが遅いレースでは、全馬が一団となって進むため、このリスクは上がるもの。
シャドウダンサーとの対面に感動してから、およそ30分後。いざレースが始まると、その心配は現実になっていました……。最終コーナーでは手応えこそ抜群のシャドウダンサーですが、ペースが遅く、前も横もぎっしりとライバルに囲まれているため、完全に動けない状態。コンビを組む戸崎騎手も、後ろを何度も確認しながら横に出すスペースを探ります。もう完全にゴールデンウィークの渋滞です。