世代間格差が埋まりつつある
前回、2012年の10月に行った調査では、40代の男性の40%以上が「あまりない/ない」と回答していましたが、今回は40代の約65%が美容に関心があると答えました。さらに今回から50代にも調査を行ったところ、57.9%の人が美容に関心があるとも答えています。ほんの2年でこのような劇的な変化をもたらしたことは注目に値します。以前、「美容に無関心な男性はビジネスの危機意識も低い」の中で、10~20代の若者世代とミドルエイジとの間の年代格差を指摘しましたが、今回の結果では、その格差は溝が埋まってきており、ミドルエイジといえども一概に美容に無関心とはいえなくなってきました。これには社会情勢の変化も関係していると思われます。
『MADURO』(セブン&アイ出版)*同社サイトより
トレンドを踏まえて服を着こなし、女性と楽しく過ごすためには適切な自己演出が必要であり、そのためには身なりを整える必要があります。このように、今まで無関心層としてあぐらをかいてきた年代も、その必要性に気づき始めたのでしょう。
この流れは女性誌でも起きており、40歳前後が対象となる『otona MUSE』(宝島社)、『GOLD』(世界文化社)などが次々と創刊され、富裕層のシニア世代が消費のターゲットとされているのです。このような状況の中で、ミドル~シニア世代が今まで以上に自分自身に注意を払う必要が出てきました。
自分だけではなく他人も気になる
他人の「身だしなみ」が気になることはあるか、との問いに対して、20~50代すべての世代で60%以上の人が「とても気になる/気になる」と答えており、自分自身だけではなく、他人のことも気にしている様子がうかがえます。つまりこれは、ビジネスをはじめとして社会生活を営む上で、清潔感をキープし、最低限度の身だしなみを整えることは当たり前、ということではないでしょうか。昔は、汗臭いなど男性の働き方は少々、粗野でも許されるきらいがありましたが、最近はそれでは通用しません。
第一印象が不潔であれば、その人自身の価値を下げてしまいかねないということです。これほど、身だしなみは男性にとっても必要不可欠な要素と見なされるように変化してきたのです。
モノより見た目
では、実際、どのようなことを「身だしなみ」と定義づけているのでしょうか? 「どういったことに気をつけていますか?」という設問に対して、各年代でやや差はあるものの、同じような結果が見られました。「寝癖・ヘアスタイルの乱れ」「口臭」「ヒゲの剃り残し」「鼻毛」「不快な体臭がしないか」がトップ5を占めています。これに「清潔感の有無」「フケ」などが続き、その後にスーツやシャツ、靴など身につけるものに対する項目が出てきます。
ここで見えてくるのが、「モノより見た目」という現象です。身だしなみで気をつけているところは、スーツや靴などといった“持ち物”よりも、ヒゲや肌、ニオイなど“体”にまつわる事柄に、より気をつけるべきという認識が伺えます。
持ち物は経済状況や立場によって左右されますが、体は普段の努力によってもたらされるもの。ここで差をつけられると、社会生活における影響が大きいのだと私は考えています。
特に顕著だったのが、各属性別の身だしなみ感度で、『経営者・役員』、『自営業』など自分自身に評価が集まりやすい人の方が、やはり身だしなみを『気をつけている』割合が高いこと。
これは人前に出る機会の多い人は「個人力=身だしなみ・見た目」という外的要因が密接に関わっていることを認識しているのではないか、と推察できます。
次のページでは、気になる「ニオイケア」について考察を深めていきます。