神は細部に宿る!
三井記念美術館(日本橋):特別展 超絶技巧!明治工芸の粋
【七宝】並河靖之《桜蝶図平皿》 清水三年坂美術館蔵
その美しさ、精巧さから、近年特に注目度が上がっている明治期に造られた工芸品。七宝や、金工、木工、漆工に刀装具、牙彫に木彫、印籠など、すべてのジャンルにおいて卓越した技術を持つ職人がおり、それぞれに「超絶技巧」な作品を作り上げています。
とはいえ、その技巧を凝らした作品の多くは当時の万国博覧会などを通じて海外に輸出してしまい、日本人の私たちでさえも、なかなかその魅力に気づくことができませんでした。
その魅力にいち早く注目したのが、コレクターの村田理如氏。海外へ散逸した幕末から明治期にかけての工芸品を少しずつ買い戻し、四半世紀をかけて膨大なコレクションを構築。2000年には京都に清水三年坂美術館を開館しました。
今回の展覧会は、このコレクションのなかから厳選された明治工芸の作品を集めて展示したもの。その類まれなる技巧、そして美しさに耽溺できます!
たとえば、有線七宝という技法で造られた並河靖之の《桜蝶図平皿》。有線七宝とは、銅製の器胎(土台になるもの)に、輪郭線にそって薄い金属の線を張り、さらに釉薬を筆でさして、窯で焼き付ける技法です。桜や蝶の細やかな描写の美しさは圧巻。実物を目にすると、その細やかな仕事がよりよくわかります。
【自在】明珍《蛇》 清水三年坂美術館蔵
また、単なる精巧な金属製の置物にとどまらないのが金属製のパーツをつなぎ合わせた「自在」。自在とは、甲冑師が鎧を作る際に使った技術を使った自由に動く工芸品。徳川氏によって江戸幕府が誕生し、戦争がなくなり、甲冑師の仕事が激減した江戸時代末期に隆盛を迎え、日本だけでなく海外でも大人気になりました。竜や蛇、伊勢海老や魚などさまざまな自在が制作されています。見た目だけでなく、動きも忠実に再現することが可能です。
明珍による《蛇》は、260もの鉄製の部品を組み合わせて、蛇を伸ばしたり、とぐろを任せたり、自由なポーズをとることが可能です。
このほかにも、息を飲むほどの細やかな技巧が施された作品が並びます。もし、お持ちでしたら単眼鏡などを持参するのもよさそう。その美しさはもちろんのこと、ものづくりはここまで極められる!ということにも感動しきりです。
■DATA 三井記念美術館(日本橋):特別展 超絶技巧!明治工芸の粋
展覧会名称:特別展 超絶技巧!明治工芸の粋
会場:三井記念美術館
会期:2014年4月19日(土) ~7月13日(日)
開館時間: 10:00~17:00
※金曜日は19:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日
Web: http://www.mitsui-museum.jp/
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