フランス中西部を流れるロワール河。その流域は「フランスの庭園」と称されるほど風光明媚で多くの古城が点在する美しい場所です。そしてチーズ好きが「ロワール」と聞いてまず思い浮かべるのがシェーヴル、つまり山羊乳製のチーズです。ロワール河周辺は、このシェーヴルのフランス最大の産地で、多くの有名な高品質シェーヴルを生み出しています。代表的なのがセル・シュール・シェール、ヴァランセ、そしてこの“サントモール・ド・トゥーレーヌ”です。

シェーヴルには多くの種類と形があり、名前も覚えにくくて混乱してしまいがちですが、このサントモールの見分け方は簡単!特徴は、細長い棒状の形と木炭粉をまぶされたグレー色、そして、真ん中に通った1本の藁(わら/パイユ)です。

サントモール・ド・トゥーレーヌ

サントモール・ド・トゥーレーヌ (Photo Credit; Michel Blot)


<目次>
基本データ
どんなチーズ?
名前の由来
起源
製法
熟成による変化
ワインとのマリアージュ
食べ方


基本データ

名称:サント=モール・ド・トゥーレーヌ(Sainte Maure de Touraine)
タイプ:シェーヴル
原産地:フランス、ロワール地方( アンドル・エ・ロワール、ロワール・エ・シェール、アンドル、ヴィエンヌ各県の一部の村落)
原料乳:山羊乳(無殺菌乳)
熟成期間:最低10日間
固形分中脂肪分:最低45%
出荷時の形・大きさ・重量:片方がやや細くなった細長い円筒(丸太)形。長さ約17cm、重さ約250g
旬:秋から春にかけて(1年を通して入手はできる)
AOC(原産地呼称統制)取得年:1990年

※サント・モール・ド・トゥーレーヌの位置はコチラから

 

どんなチーズ?

小さな丸太の様な形をしたサントモール。表面には木炭粉がまぶされ、その上からうっすらと白かびが覆い、グレーががった色をしています。良く見ると、このチーズの中心には1本の棒が通っています。これはライ麦の藁。崩れやすいチーズを補強するために差し込まれたものです。チーズをカットすると、内層は真っ白でしっとりとしています。

味は酸味があるので、サラダにのせたりキレのある爽やかな白ワインとともにさっぱりといただくと美味しい、春から夏がおすすめのチーズです。なお、食べる時にはこの藁を抜いてからカットしていただきます。また、まぶしてある木炭粉には、酸味を和らげたり水分調整の働きがあると言われています。

シェーヴルの旬は春~夏。早春に出産を終えた母山羊たちが、みずみずしい青草やハーブを食べて美味しいミルクを出してくれる季節。したがってチーズも風味豊かに仕上がるのです。


名前の由来

ロワール河にほど近いアンドル・エ・ロワール県の小さな町、“サント・モール・ド・トゥーレーヌ( Sainte Maure de Touraine)から。


起源

時は8世紀。フランスに攻め込んできたイスラム軍(サラセン人)が、このロワール地方での "トゥール・ポワティエの戦い"に敗れて撤退。その時食料として持ち込んでいた山羊が取り残されたのが始まりです。

なお、サントモール・ド・トゥーレーヌの町は、北はトゥール、南はポワティエに挟まれており、まさに"トゥール・ポワティエの戦い"が起こった地域に位置しています。遥か昔にこの場所で大きな戦いがあり、それを機にこの地方でシェーヴル作りが行われるようになったかと思うと感慨深いもの。そういった歴史との繋がりもチーズの面白さのひとつです。

次ページでは、製法から食べ方までをご紹介します。