本文と行政書士試験

教育的配慮から、初学者や既修者が理解しにくいところ、いわば弱点・盲点について、しっかりと説明がされています。著名な先生方がこれまでの教育経験から得られた知識を出し合って、わかりやすい教科書を目指したということが伝わってきます。ですから、読んでいると、はっとする一文に出会うのです。民法総則が不得意と思っている方には特におすすめです。

ただ、本書は、行政書士試験用に書かれたものではありませんので、行政書士試験用にカスタマイズする必要があります。

行政書士試験の出題範囲・頻度を考えて取捨選択すると、序章、第一章、第三章、第五章は不要だと思います(少なくとも、受験経験者は読まなくてよいと思います。初学者もあまり気にしなくていいと思います)。

また、本文で紹介されている学説はあまり重要ではありません。行政書士試験ではほとんど出題されないからです。判例の立場を理解して暗記すれば大丈夫です。ただ、通説や多数説と記されている学説は必要です。これは、条文、判例の次に準ずるものなので、理解して暗記してください。通説や多数説と表記のないその他の説(有力説)は不要です。

判例の記載と行政書士試験

行政書士試験に限らず、法律系国家試験における学習・出題範囲のひとつの基準と言われるのが、判例百選です。ですから、幾多ある判例の中で、判例百選に掲載されている判例は押さえなければいけません。

この本では、本文ではもちろん、巻末の判例索引において、現在の最新刊である百選民法(第6版)の掲載の有無だけでなく、百選民法(第5版)の掲載の有無までもが記載されています。この索引によって百選掲載判例を認識して優先的に潰すことができます。

すべての教科書がこのような配慮をしてくれているわけではありません。本書の優れている点だと思います。なお、百選掲載以外の判例も大切なので、本文に掲載されている判例は押さえてください。

最後に~さらに手を加えるとすると

行政書士試験の過去問を解きながら、過去出題された条文や判例に関する本文について赤線などを引くことにより、より使いやすくなると思います。本来は、定義、趣旨、要件、効果、判例などを色分けして読み込んでいくのがひとつの勉強法ですが、過去問該当部分の確認だけができれば十分だと思います。

民法総則が不得意な方は是非一度手に取ってみてください。


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