ラタトゥイユは外せない
ゴブリン
2008年4月、西麻布にオープンしたバーなのですが、お酒はもちろん料理のクオリティがとにかく高い。いずれも油脂やソースを極力抑えた仕上がり(フレンチがベース)で、素材の持つ香りやテイストをしみじみと実感させてくれます。ア・ラ・カルトだけではなく、おまかせコース(3000円~)も用意されており、他のバーとは一線を画す、「レストラン」の料理を堪能することができます。
基本的には、メニューを見て食べたい物をオーダーするのが一番よいですが、これだけは外せない注文必須のメニューが存在します。それが定番の“ちょっと変わったラタトゥイユ”。南仏の素朴な家庭料理であるラタトゥイユを、現代風にアレンジした一品で、見た目の美しさはもちろんのこと、気取って食べるのがとてもお似合い。期待をうれしく裏切ってくれる構成です。
透明なグラスの中には、トマトで煮込んだ冷製のラタトゥイユ(ピュレ状にしたもの)が敷かれていて、その上に小さなダイス状にカットしたトマト、ナス、ズッキーニ、パプリカ、玉葱、にんにく等の野菜と、トマトの酸味が効いたコンソメジュレ。スプーンですくうと、様々な表情の野菜が口の中で軽快に踊りながら、深いコクと清涼感を脳裏に焼きつけてくれます。ピュレの濃厚さとジュレの爽やかさが後押しすることで感じられる野菜の力強さも印象的。夏には当然もってこいの一品ですが、それ以外の時期でも食事のスターターに最適です。